Assert Webの更新情報(2022-02-28)

【最近の投稿一覧】
2月28日 【投稿】ウクライナ危機・核戦争への危険な展開--経済危機論(75)
2月27日 【投稿】ロシア軍のウクライナ侵攻とネオナチに操られる・ゼレンスキー
2月17日 【投稿】「ロシアのウクライナ侵攻」というフェイクニュースを振り撒いたバイデン政権
2月15日 【投稿】ウクライナ危機の行方
2月13日 【投稿】バイデン政権・「世界大戦」の脅し--経済危機論(74)
2月9日 【投稿】菅前政権よりグダグダー岸田首相のコロナ・オミクロン株対策―「防疫」から「医療」への転換を図れ
2月9日 【書評】『誰が命を救うのか──原発事故と闘った医師たちの記録』
2月5日 【投稿】小児甲状腺がんの隠ぺいを図る岸田政権―小泉元首相ら5人のEUへの書簡に慌てふためくー
2月1日 【投稿】歴史の経過を踏みにじり、他国の内政に干渉する衆議院の「新彊ウイグル決議」
1月30日 【投稿】バイデン政権の戦争挑発と軍需産業--経済危機論(73)
1月22日 【投稿】投機的バブル崩壊への序曲--経済危機論(72)
1月20日 【投稿】カザフスタン「カラー革命」の敗北
1月16日 【投稿】コロナ禍、最悪のインフレへ--経済危機論(71)
1月10日 【投稿】南北戦争以来の大分裂に直面し、対外危機を煽るバイデン政権
1月8日 【投稿】50年までに排出ゼロ―「脱炭素」という大嘘で原発の復活図る欧州
12月31日 ネグリジェ モコモコルームウェア レディース 冬 長袖ワンピース 可愛い 前開きバスロープ フランネルルームウェア 暖かい パジャマ 厚手 部屋着 ゆったり韓国風 オシャレカジュアル ネグリジェ モコモコルームウェア レディース 冬 長袖ワンピース 可愛い 前開きバスロープ フランネルルームウェア 暖かい パジャマ 厚手 部屋着 ゆったり韓国風 オシャレカジュアル
12月23日 【投稿】「北京五輪外交ボイコット」を煽り歴史修正主義に転落した日本共産党
12月22日 【投稿】チリ:市場原理主義・新自由主義への葬送--経済危機論(69)
12月13日 【投稿】米経済:鮮明なインフレ高進--経済危機論(68)
12月12日 【書評】『ジョブ型雇用社会とは何か―正社員体制の矛盾と転機』
12月4日 【投稿】「台湾有事は日米同盟の有事」と煽る安倍発言とその背景
12月4日 【書評】 『いないことにされる私たち──福島第一原発事故10年目の「言ってはいけない真実」』

【archive 情報】

「Assert-archive」に「2021」のページを追加しました。(2022-02-11)
★「2021-Assert-archive」(2021年に投稿された全投稿一覧です)

[HISTORY]-「大阪の戦後学生運動史」の中に、以下の文書を追加しました。(11/9)
【資料】大阪市立大学 学生運動史 (1960年以降)

[HISTORY]-「構造改革派について」の中に、以下の文書を追加しました。(11/3)
【試論】日本のこえと民学同
【試論】日本共産党 市大細胞について

「MG-archive」に、「[地酒・茨城]樽の香りほのかな純米酒と山廃仕込みの純米山廃原酒の詰め合わせ。 【木内酒造・菊盛】純米樽酒と純米山廃原酒 720ml 2本セット[地酒・茨城]」を追加しました。(9/27)

カテゴリー: 更新情報 | Assert Webの更新情報(2022-02-28) はコメントを受け付けていません

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<<ロシア核部隊の「警戒態勢」>>
2/27、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナをめぐる西側諸国との緊張が高まる中、ロシアの核抑止力を運用する部隊に「警戒態勢」をとるよう命じた、と報じられている。セルゲイ・ショイグ国防相、ヴァレリー・ゲラシモフ参謀総長との会談で、「NATO主要国の高官がわが国に対して攻撃的な発言をすることを許しているので、私はここに、ロシア軍の戦略的抑止力を特別な戦闘態勢に入れるよう国防相と参謀長に命じる」と述べた、という。この「特別な戦闘態勢」は、核兵器の使用をも含めた「戦略的抑止力」(SDF)だという。明らかに核戦争事態への備えである。

同じ2/27、ウクライナ当局は、核兵器の不拡散に関する条約(NPT)に基づくIAEA査察の義務を放棄したと、セルゲイ・キシュリツァ国連大使の書簡の説明文を参照してRIAノーボスチが報じている。
文書では、キエフ政権はウクライナ領土内の核物質が軍事目的に使用されないことを保証できないとしている。この声明は、ロシア軍がドンバスでの特別作戦でチェルノブイリ原子力発電所を完全に掌握した後に出されたものである。
ウクライナは1991年の旧ソ連崩壊後、独立から間もないウクライナにあった旧ソ連の核兵器が残されていたが、1994年、NPT・核兵器不拡散条約に加盟・調印により、核兵器保持を放棄している。しかし、ウクライナは、核爆弾の製造能力に加えて、ミサイル搭載用の核弾頭も製造でき、弾道ミサイルを製造する工場が、同国ドニプロペトロウシク州にあるという。

さらに問題なのは、ウクライナは電力の半分以上を15基の原子炉に依存しており、戦闘の過程で脅威にさらされる可能性が増大していることである。これらの原発は、2基を除き、すべてソ連時代に建設されたもので、保守点検や燃料補給の大半をロシアが担ってきたものである。12基は、建設後30年以上経過している。ウクライナ国内での軍事行動は、それが意図的な標的であれ、あるいは偶発的であれ、原発に損傷を与えれば、制御機構、バックアップ電源、使用済み燃料プール、緊急冷却システムに影響を与え、チェルノブイリレベル、あるいはそれ以上の大惨事を引き起こす可能性がきわめて大きいのである。冷却水の補給が途絶えただけでも、あるいはウクライナの送電網へのサイバー攻撃でさえ、これらの原発の安全性と運転システムに重大な影響を与える可能性が大なのである。戦闘行為は即刻、全面的に停止されなければならないのである。

2/22、原発・核兵器廃絶運動のビヨンド・ニュークリア(Beyond Nuclear)の創設者リンダ・ペンツ・ガンター氏は、「発端や原因、誰が何を始めたかにかかわらず、ウクライナには稼働中の原子炉が15基あり、紛争が起きれば危険にさらされる可能性があるという現実は変わらない」と述べ、「クライナでの戦争の見通しはきわめて憂慮すべきものであり、これを回避することが緊急の課題なのです。」と強調する通りである。

<<危険なエスカレーション>>

さらに危険なのは、2/25、軍事同盟であるNATOが、70年の歴史上で初めて、4万人の部隊からなるロシアに対抗する対応部隊を発足させ、空軍・海軍の支援を強化する計画を発表したことである。NATO加盟国首脳は共同メッセージで、この動きを「予防的、比例的、非エスカレーション的」と位置づけ、「現在も将来も、同盟全体で強力で信頼できる抑止力と防衛を確保するために必要なすべての配備を行う」ことを明らかにした。NATOは、ロシアに直接対峙する「同盟の東部」に部隊を配備する計画だという。「非エスカレーション」どころか、ロシアに挑発を仕掛けるエスカレーションそのものである。
ウクライナ危機の最大の原因は、プーチン大統領が指摘する、ウクライナのNATO加盟の野心と、ロシア国境付近の同盟軍の存在を安全保障上の

石油・ガス大企業に幸せな日々

主要な脅威として挙げて来たものである。米英、NATOは、このロシアが何年にもわたってNATO不拡大の約束の実行を迫ってきていたことそのものを根底から拒否するものなのである。
何が事態をここまで危険なものにさせたのであろうか。一体、勝者は存在するのであろうか。この事態に至るまでの勝者は確かに存在する。軍需独占企業を中心とする軍産複合体であり、ヨーロッパへのロシア・ガスパイプラインを停止に追い込み、石油・ガス価格高騰で巨利をむさぼる米英石油独占体であり、これらに融資する金融独占資本である。政治的経済的危機を緊張激化で乗り切ろうとする政治勢力である。それを推進してきたのは、対ロシア、対中国の冷戦を煽ってきた米英の政権であり、ネオコン勢力である。彼らにとって、緊張緩和は敵であり、敗北である。彼らは緊張激化の中にこそ利益を見い出し、さらなる利権と巨利をむさぼろうとしているのである。
しかし、緊張激化と、世界戦争への加速は、アメリカを中心とする帝国主義的支配体制の衰退と地位の低下の現われでもあり、焦りでもある。パンデミックにも有効に対処できないG7はその象徴と言えよう。

今、世界中で再び平和を要求する声、行動が展開され

戦争に反対、NATOに反対

ているが、「戦争ではなく外交」、「緊張激化より緊張緩和」はスローガン以上のものでなければならないし、核戦争の防止、軍事同盟の不拡大・廃棄が提起されなければならない、と言えよう。ましてや、ウクライナの人々を「救う」ために、NATOによるさらなる軍事介入を要求したのでは、好戦勢力を喜ばせるだけであろう。

<<プーチンの大ロシア民族主義>>
こうした事態の経過から明らかなことは、ロシアに対するあらゆるフェイクニュースや偽情報を使って戦争の脅威を煽り、挑発を組織し、結果としてロシアを追い込み、わなを仕掛けたということであろう。

問題はこうしたわなに飛び込んでしまったロシアの、というよりプーチン氏の政治姿勢である。
2/21、プーチン大統領はウクライナ侵攻に際してウクライナは「我々にとって単なる隣国ではない」と述べ、「我々の歴史、文化、精神的空間の不可侵の一部である 」と述べた後、「現代のウクライナは、すべてロシアによって、より正確にはボルシェビキ、共産主義ロシアによって作られたのです。このプロセスは実質的に1917年の革命直後に始まり、レーニンとその仲間は、歴史的にロシアの土地であるものを分離、切断するという、ロシアにとって極めて過酷な方法でそれを行ったのです。」と、述べている。ここにプーチン氏の本音が露骨に現れている。
1917年の10月革命で、ロシアの労働者評議会と兵士評議会は、レーニンがとりわけ強調した、抑圧された人民の自決という原則を掲げ、後にソ連憲法に明記され、すべての社会主義共和国に無条件で分離独立の権利を認める、民主主義の原則としたのであるが、プーチン氏は、これを「国家としての基本原則 」に反する、「間違いよりも悪いもの 」だったと断言したのである。

大ロシア民族主義を厳しく批判したレーニンは、「われわれは、民主主義者として、たとえ少しでも一切の抑圧といかなる民族の特権にも反対する」ものであり、大ロシア人の民族主義は「現在、最も恐れるべきものであり、ブルジョア的であるというよりも封建的であり、民主主義とプロレタリアートの闘争にとって大きなブレーキなのである」と強調していたのである。とりわけスターリンのロシア大民族主義を前提に、レーニンは「抑圧民族の民族主義と被抑圧民族の民族主義,大民族の民族主義と小民族の民族主義とを区別することが必要である。われわれ大民族に属するものは、歴史的実践のうちでほとんど常に数かぎりない強制の罪を犯している。それどころか、自分では気づかずに数かぎりない暴行や侮辱を犯しているものである」。「抑圧民族、すなわち、いわゆる“強大”民族にとっての国際主義とは、諸民族の形式的平等を守るだけでなく、生活のうちに現実に生じている不平等に対する抑圧民族、大民族のつぐないとなるような不平等を忍ぶことでなければならない。このことを理解しなかった者は、民族問題に対する真にプロレタリア的な態度を理解せず、実はブルジョア的見地に転落せざるをえないのである」とまで断言しているのである。
このような大ロシア民族主義を、2022年の現在、このウクライナ危機の最中に振り回すプーチン氏の政治姿勢は、まさに「抑圧民族の民族主義」と言えよう。このような政治姿勢を取り続ける限り、プーチン氏の政治的基盤は掘り崩され、国際主義的連帯を前提としての民族自決権を否定するものとなり、ウクライナ危機の真の解決をますます遠のかせてしまうであろう。
(生駒 敬)

カテゴリー: 政治, 生駒 敬, 経済, 経済危機論 | コメントする

【投稿】ロシア軍のウクライナ侵攻とネオナチに操られる・ゼレンスキー

【投稿】ロシア軍のウクライナ侵攻とネオナチに操られる・ゼレンスキー

                             福井 杉本達也

1 ロシアのウクライナ侵攻

2月22日朝のSputnikはプーチン大統領は、親露派勢力が支配するドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国の独立を承認し、ロシア軍を派遣し、平和維持活動を進めることを定めた大統領令に署名したとし、同共和国の要請を受けて同地域への平和維持軍派遣を決定したと報道した。これに対し欧米は「米国や欧州などが侵攻阻止に向けて発した警告を無視し、主権国家に派兵する。東西の冷戦後の世界秩序を武力で揺さぶる行為で、米欧はロシアへの経済制裁を発動する。民主主義と強権主義の分裂が鮮明となり、世界の混迷は一段と深まることになる。」(日経:2022.2.23)と報道している。27日現在、ロシア軍はドネツク方面の東部からと、クリミア半島方面の南部から及びはウクライナ第二の都市ハリコフなどのある北部からウクライナに侵攻している。また、同時にミサイル等により空港や軍事施設などを破壊した。

 

2 ネオナチに乗っ取られたウクライナとドンバスのロシア人虐殺

元外務省欧亜局長の東郷和彦氏の地方紙への『特別寄稿』よると「ロシアがウクライナに対する軍事力の行使に踏み切った直接の引き金は、ウクライナ東部親ロシア派支配地域の住民約お万人の安全がウクライナによって脅かされているという判断だった」とし、「ウクライナのゼレンスキ大統領は『親ロ派はテロリスト』と放言して緊張をあお」った(福井:2022.2.26)としている。ウクライナは2014年の米CIAの後ろ盾によるマイダンクーデターにより、選挙で選ばれた政権を倒して築かれた。そのクーデターの主体はネオナチである。クーデターで排除されたヤヌコビッチの支持基盤である東部や南部でも住民が惨殺された。ドンバスやオデッサでの住民虐殺は凄惨なものだった。ネオナチの一人:ヤロシュは2021年11月から参謀長の顧問を務めている。ネオナチの「アゾフ大隊」を率いているのはヤロシュの部下といわれる。元駐ウクライナ大使の馬渕睦夫氏は2月25日のYouTube上で「ウクライナは乗っ取られている。ロシア人を虐殺してるんですよ、ウクライナの中でね!」と述べている。このマイダンクーデターを指揮し、ウクライナにおける親露政権を覆し、西側と連携を求める政権を樹立した中核的人物がオバマ政権・国務次官補時代のヌーランドである。ネオコンの理論的支柱ロバート・ケーガンの妻であり、現バイデン政権下では国務副長官である(孫崎享:2022.2.25)。

 

3 NATOの東方拡大による核戦争の危険の高まり

プーチン大統領は2月24日の演説で「ソ連が解体され能力の大部分を失った後も、ロシアは核保有国の一つだ。最新鋭兵器もある。われわれに攻撃を加えれば不幸な結果となるのは明らかだ。」と述べたが、これを受け、日本原水爆被害者団体協議会や広島県内の被爆者7団体などは「核兵器による威嚇で、被爆者の願いを踏みにじるものだ」として、ロシア大使館に抗議文を送った(読売:2022.2.27)が、これは米欧のプロパガンダをそのまま信じた行為である。2019年2月に当時のトランプ政権はロシアとの間の「INF条約」(Intermediate-range Nuclear Forces Treaty:中距離核戦力全廃条約)の破棄通告をロシア側に通告し、INF条約は8月2日に失効した。中距離核戦力が配備されるとヨーロッパが戦場となる。もし、ウクライナに中距離核ミサイルが配備されれば、モスクワまで数分で届く。ロシア中枢部が何の防衛手段もないまま核攻撃にさらされることとなる。ロシアはウクライナのNATO加盟を警戒するのはそのためである。現状は「相互確証破壊 Mutual Assured Destruction, MAD)」という非常に危うい理論の上に核兵器の使用が避けられている。「核兵器を保有して対立する2か国のどちらか一方が、相手に対し先制的に核兵器を使用した場合、もう一方の国家は破壊を免れた核戦力によって確実に報復することを保証する。これにより、先に核攻撃を行った国も相手の核兵器によって甚大な被害を受けることになるため、相互確証破壊が成立した2国間で核戦争を含む軍事衝突は理論上発生しない」(Wikipedia)というものである。ところが、中距離核ミサイルをウクライナに配備できれば、ロシアの心臓部を数分で壊滅でき、米国は核の反撃を受けないという誘惑が生まれる。核の先制攻撃論である。米国がINF条約を脱退した理由である。

 

4 米・NATOに見捨てられた捨て駒・ゼレンスキー

ゼレンスキーは2月24日にウクライナは孤立していると発言した。ウクライナを利用してロシアを挑発、恫喝してきた米・NATOは隠れてしまい、ウクライナが取り残された。米・NATOはウクライナだけでロシアと戦えと。ウクライナは米国にとって中距離核ミサイルの発射台であり、ロシアとガスパイプラインを利用しての欧州への恫喝の道具ではあるが、米国が血を流して守る地域ではない。既にネオナチに乗っ取られたこの8年間でウクライナの経済は破綻している。またチェルノブイリ原発の後始末という数百年単位の非常に厄介な課題を抱えている。パトリック・アームストロングによれば「ウクライナ人移住労働者による送金が、今年133億ドルに達すると予想される。2019年と2020年の記録的な実績120億ドルより11%多い。今年は、労働が食糧に続き、金属より上で、ウクライナで二番目に大きい輸出になると予想されている。要するに「改革実行でのウクライナの進歩」に関する全てのたわごとは、ウクライナが黒土地帯にある事実と、外国で、金持ちの隣人のために働いている国民のおかげなのだ。産業空洞化は、ほぼ完了した。アントノフ社は去り、ユジマシ社は苦闘し、ドンバスは去り、黒海造船所は倒産した。ここに要約がある:見てお分かりの通り、最も強力な産業の可能性を持っており、ほとんど全ての産業生産物を、自身にも、他の共和国にも提供可能なソビエト社会主義共和国連邦の共和国から、ウクライナは、農業原料加工や林業企業だけが活動する領土に変わった。ウクライナの完全な産業空洞化は、実際、完了した。」(マスコミに載らない海外記事:パトリック・アームストロング:2021.8.11)。米国としてはロシアへの恫喝の踏み台以外の利用価値はないと踏んでいる。

 

5 SWIFTによるロシア経済制裁の影響

米国、英国、欧州、カナダは2月26日、ロシアの一部銀行を国際銀行間の送金・決済システムのSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除することで合意した。「ロシアの金融機関は世界で1日あたり約460億ドル相当の為替取引を手掛け、その8割が米ドル建てだ。は全世界で1日あたり4200万件の送金情報を扱っており、このうちロシアの金融機関は2020年時点で1・5%を占め」(日経:2022.2.27)これが出来なくなれば、欧州とのガス取引や原油取引にも大打撃となる。日本への影響も避けられず、野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英氏の見方では、対ロ経済制裁によりロシアとの貿易が全て停止する最悪の場合、エネルギー価格の急騰や円高・株安により、日本経済には国内総生産で1.1%程度の下押しになると試算している。原油価格がバレル140ドル程度まで上昇し、円高・株安が進むとの想定だ。しかし、木内氏は「今回のSWIFT排除のステートメントを読むと、ロシアの全ての銀行が対象となっているわけではない。SWIFTを利用しない決済手段もある。このため、日本経済へのインパクトも上記の最悪ケースの試算ほどにはならないと考えられる」(ロイター:2022.2.27)とも分析している。既にロシアは外貨準備高のほとんどを金に換えており、また、中国との間では元建て決済を、ロシアとインド間ではで米ドルを放棄 「インドは相互決済にドルを使うことをやめ、すべての支払いをルーブルとルピーで行うことを発表」(2021.12.8)するなど、ドル離れの動きが進んでおり、ドル覇権体制の崩壊につながる可能性もある。

カテゴリー: ソ連崩壊, 平和, 杉本執筆 | コメントする

【投稿】「ロシアのウクライナ侵攻」というフェイクニュースを振り撒いたバイデン政権

【投稿】「ロシアのウクライナ侵攻」というフェイクニュースを振り撒いたバイデン政権

                            福井 杉本達也

1 「2月16日にロシアがウクライナに侵攻する」とフェイクニュースを振り撒いた米英と日本のマスコミ

英国のタブロイド紙『The Sun』は2月15日「DAWN RAID Russia set to invade Ukraine at 1AM tomorrow with massive missile blitz and 200,000troops,us intelligence claims」(米国情報機関: 明日、ロシアがウクライナ侵略。大量なミサイルと20万人の軍隊で)と報じた。しかし、「ロシアの侵略」の日に何も起こらなかった。「誰もウクライナを攻撃するつもりはなかったことは明らかであり、行くつもりはありません。とにかく、モスクワは『それは挑発されることはありません』、(シンデレラ物語のように夜の12時を過ぎて)『カボチャ』に変わった欧米のメディアは、どのように振る舞い、自分自身を正当化するのか」、「ホワイトハウスのサキ報道官は、ロシアは『1月中旬から2月中旬まで』に(ウクライナを)侵略すると述べた。しかし、その期間は終わりました 。そして、誰か彼女の大胆な予測に何が起こったのかを尋ねましたか?そうではありません。アメリカのメディアの誰も彼らが昨日言ったことを気にもしないのです」(RIAノボスティ(露語訳)2022.2.16)。

にもかかわらず、日本のマスコミの2月17日のトップ見出しは「ロ軍撤収確認できず・ウクライナ国境」(福井=共同:2022.2.17)であった。「パイデン米大統領は15日、ホワイトハウスで演説し、ロシアが発表したウクライナ国境周辺からの軍部隊の一部撤収は『確認できていない』と述べた。『侵攻の可能性は十分残っている』と強調したと報道している(同上)。いったいこのようなフェイクニュースのたれ流しは誰の得になるのか。

 

2 米国の馬鹿さ加減に困惑する岸田政権―エマニュエル米駐日大使の「北方領土」発言

2月12日の産経新聞にはめずらしく「エマニュエル氏は7日に投稿したツイッターの動画で『米国は北方四島に対する日本の主権を1950年代から認めている』と発言した。同じ動画ではウクライナ情勢についても言及し『10万人の兵士を集め、欧州を紛争と危機の危険にさらしている』とロシアを非難した。」が、「これに対し、林芳正外相は10日の記者会見で『日本側の立場への支持を表明したものとして歓迎している』と述べた。」と一応、「属国」としては、米国追随の姿勢を示したと報じたものの、すぐ続けて「日本は平成30年にシンガポールで行われた日露首脳会談で、平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すとした昭和31年12月の日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速すると確認し、事実上「2島返還」を優先する姿勢に転じた。岸田政権もシンガポール合意を引き継ぐ立場だ。」と書き、「米国は過去には2島返還を模索する日本を牽制している。日ソ共同宣言前の31年8月、ダレス米国務長官(当時)は重光葵外相(同)との会談で、日ソ接近を阻止するため、『日本がソ連案を受諾する場合は米国も沖縄の併合を主張しうる』と恫喝(どうかつ)した。外務省幹部は『米政府がダレスみたいな牽制球を投げることは、たまにある』と明かす。エマニュエル氏は大統領首席補佐官や下院議員の時代から老練な交渉力で知られる。動画には、領土交渉を進めようとすればロシアに利用されかねないと警告する意図があったとしても不思議ではない。」と書いた(産経:2022.2.12)。まさか、産経新聞に「ダレスの恫喝」が出てくるとは思わなかった。

米国による「ロシアの侵攻」「台湾・ウイグル問題」のフェイクニュースの洪水は「アメリカの北大西洋条約機構(NATO)や他の西側同盟国がロシアや中国とのより多くの貿易と投資を開放するのを防ぐために、内側に向けられている。その目的は、ロシアと中国を孤立させるというよりは、これらの同盟国をアメリカ自身の経済軌道の中にしっかりと保持することである。」(マイケル・ハドソン(英訳):2022.2.8)ということを、日本の外務省・岸田政権も十分理解しているということである。しかし、「属国」として、「帝国」とどのような距離感が取れるかに悩んでいるということであり、産経以外の各紙が垂れ流すようにはエマニュエル駐日大使の発言を歓迎していないという本音である。逆にいえば、毎日のように米英が「ロシアの侵攻」を口にしなければ、同盟国という「属国」を繋ぎ留めておくことすら出来なくなっていることを示している。渦中のウクライナの「ゼレンスキー大統領は、冷静な対応を米国やNATO、ロシアに呼びかけており、危機に瀕した国のリーダーという感じではない。いずれにしても、米国のワンマン・バンド(「独り舞台」を意味する)の時代は終わりを告げたことを意味する(小川博司「プーチンに足元を見透かされるバイデン政権、激しい威嚇も空砲か」:JBpress 2022.2.14)。

 

3 ウクライナ危機を煽ることで本当に困るのはドイツを中心とする“西側同盟国”

1969年には旧西独首相になったブラントは、旧ソ連との関係緊密化を図る「東方外交」を進め、その際、双方に利益になる象徴的なモノが天然ガスだった。1970年2月1日にソ連-西独の最初の天然ガス輸出契約が調印された。米国は西側「属国」をその支配下に置いておくためにはエネルギー資源をロシアに依存することは好ましくないと考えている。また、ロシアからの安い天然ガスがEUに入ることはEUの経済力を高め、米国の力を削ぐことになる。そこで、ウクライナのオレンジ革命や“マイダン”など様々な機会を利用し、なんとか、欧州へのエネルギーの流れを断ち切ろうとしてきた。今回のウクライナを巡る危機もその一環である。

ベトナム・ビングループ主席経済顧問の川島博之氏は、今回の危機を「米国はロシアに対して強硬な態度を貫くことによって、ウクライナに攻め入るように仕向けているように見える。…米国はウクライナの主権を重んじると言って、ロシアとの妥協を頑なに拒んでいる。…米国はそれほどまでに他国の主権を尊重する国なのであろうか。…米国はこれまで何度も中南米やアジアの国々の主権を踏みにじってきた。…米国の本心はそこにはないと考えたほうがよい。米国はロシアを追い込んでウクライナに攻め込ませたい。そうなれば経済制裁として、西側諸国がロシアから天然ガスを買うことを止めさせることができるからだ。それによって最も困るのはドイツである。米国は痛くも痒くもない。」「ロシアがウクライナに攻め込んだら、米国は経済制裁と称して西側諸国がロシアから天然ガスを購入することを止めさせるであろう。ロシアは、ドイツの代わりに中国に買ってもらえばよい…中国相手の商売なら、ドルでの決済ができなくなっても交易できる…困ったのはドイツだ。米国は、日本が中東から買い付けている天然ガスの一部をドイツに回すように働きかけたが、それは口先だけのサービスである。」(川島博之「米国はウクライナ危機を煽っている?背後に『SDGs潰し』の思惑か」:JBpress 2022.2.15)と分析している。

2月10日の日経は「LNG、欧州に融通・経産相表明・バイデン政権の意向」、「日本政府内では国内の需給にそれほど余裕がなく対応は難しいとの声も出ていた」。それを米国は自らの戦略に「巻き込もうと強く迫った」(日経:2022.2.10)という。2月13日のTBS「サンデーモーニング」において、寺島実郎氏は日本が輸入するLNGのうちロシア産LNGが10%を占めることについて、危険だと“のたまわって”いたが、危険なのは米国の息のかかったLNGを輸入していて肝心な時に止められてしまうことである。日本が開発に参加している東シベリアや北サハリンなどの天然ガスをパイプラインで運べばエネルギーの安全保障は格段に高まる。「財務省が17日発表した1月の貿易統計(速報)によると、全体の輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、原油高の影響を反映し、2兆1911億円の赤字だった。赤字は6か月連続で、金額も月額の統計として比較可能な1979年1月以降、過去2番目の大きさとなった。」「サウジアラビアなどからの原油が84・6%増となったほか、豪州からの石炭や液化天然ガスといった資源が大きく膨らんだ」(読売:2022.2.17)からだとする。岸信夫防衛大臣のように、「敵基地攻撃論」ばかり振り回すのが安全保障ではない。

 

4 アフガン中央銀行の資産を「強盗」するバイデンの言葉など信用に値しない

2月13日の共同通信は「パイデン米大統領は11日、米国内の金融機関にあるアフガニスタン中央銀行の凍結された資産計約70億ドル(約8千億円)を、ニューヨーク連邦準備銀行の口座に集めるための大統領令に署名した」とし、その半額の35億ドルを、9.11の「米中枢同時テロの犠牲者遺族に対する賠償に使われる」と報じた(福井=共同:2022.2.13)。アフガンの人民は2021年8月の米の無残な撤退以降、資産を凍結され、外貨不足や西側諸国の経済封鎖により、飢えと寒さに苦しんでいる。その資産をさらに無慈悲に奪い取るというのである。

しかも、その金を9.11の犠牲者遺族の賠償に使うというのであるが、その賠償について、CRI時評は「別の面から汚い内幕が暴かれている。米政府は16年も引き延ばした末にようやく2017年に9.11事件の被害者遺族が当然受けるべき賠償を始めたが、2019年に米政府が法改正により『被害者遺族』の範囲を定義し直したため、一部の非直系の被害者遺族は賠償を受けられなくなってしまった。そうした人々が米裁判所に米政府を提訴すると、彼らの弁護士は、2020年から21年までの間に米政府に『悪魔との取引』を持ちかけた。すなわちアフガニスタンのタリバンを被告として追加し、アフガニスタン中央銀行が米国内に持つ資産を賠償の源として、米政府がその中から一部を分割することを許すというものだ。この馬鹿げた理由は、多くの米国人にとって受け入れ難いものだ。米政府がなりふり構わずそのようなことをしたのは、内政・外交ともに行き詰まったことの産物」である(CRI時評:2022.2.14)と報じている。

そもそも、アフガンを侵略したのは、テロの“首謀者”?であるサウジの富豪出身のウサマ・ビン・ラディンを“かくまっている”というアフガンにとっての全くの言いがかりであり。米国とNATOはアフガンを占領し、20万人もの人々を虐殺し、社会的インフラを完全に破壊しつくして撤退した。旧ソ連のアフガン侵攻に対抗するためとしてビン・ラディンを利用価値のある「ムジャヒディン」として支援したのは他ならぬ米国である。アフガン人にとっては全くの濡れ衣であった。

ウクライナの危機の目的は、こうした米国のアフガンでの無残な敗北と「強盗」行為から世界の目をそらすことにある。もう一つは、危機を煽って軍産複合体の懐を潤すことにある。落日の「帝国」はなりふり構わぬ。危険なのはでっち上げによる戦争である。そろそろ、「属国」も後先を考えず吠える落日の「帝国」から足を洗う潮時である。野党(れいわを除く)も、くだらないウクライナ国会決議に同調するのではなく、自分の頭で考える時である。

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【投稿】ウクライナ危機の行方

ロシア軍はウクライナ国境近辺に十数万とも言われる部隊を配置し、越境攻撃開始は時間の問題とも言われている。
プーチンはウクライナのNATO加盟断念を獲得目標として、昨年秋以来圧力を強めてきた。
しかし、軍事力という「北風」で「NATO加盟」というマントを脱がせる試みは効を奏さず、緊張は激化の一方を辿っている。
ロシアがウクライナにマントを脱がせるためには経済支援という「太陽」が最も効果的だと、考えられるが現在のロシアでは無理である。
また、アメリカやEUにしても、バイデン次男疑惑にみられる様に、マフィアもどきが経済を支配するような国家への支援、投資は二の足を踏む状況である。
そもそも、ウクライナがNATOやとりわけEU加盟を求めても、アムステルダム条約など人権、人道上の基準をクリアできないと考えられる。

ここで影響力=「太陽」を発揮できそうなのが中国である。中国は「一帯一路」の西端への影響力を拡大するため、ウクライナへの投資を進めている。
両国は戦略的パートナーでもあり、現在は経済関係での連携が主軸であるが、かねてからウクライナから中国への武器、軍事技術の導入は活発であり、今後安全保障分野での協力拡大も可能性がある。
具体的には「上海協力機構」の西方拡大が考えられる。同機構加盟国はユーラシア中心であるが、ベラルーシがオブザーバー加盟をし、トルコも加盟申請をしているように、地理的問題や国内の人権問題は不問とされるので、のウクライナも充分資格があると言えよう。
同機構はNATOのような軍事同盟ではないが、経済協力とともに加盟国、地域の安全保障も重視しており、いわばNATOとEUの機能を兼ね備えた組織とも言える。

同機構に加盟すれば、ウクライナはNATOに加盟せずとも経済、安保支援を得られ、ロシアに対してもワンクッションを置ける。ロシアもNATOの東方拡大を阻止し、間接的な影響力を保持できる。中国はリトアニアなどの関係悪化で躓いた西方への影響力を拡大でき、「三方一両」のようなものだろう。
北京オリンピックに合わせ開催された中露首脳会談で、習近平はプーチンに五輪開催中の開戦は思いとどまるよう要請したと伝えられている。答えは間もなく出るだろうが、今後中国がロシアとの関係も考慮しながら、どの様な動きに出るか注目される。(大阪O)

 

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【投稿】バイデン政権・「世界大戦」の脅し--経済危機論(74)

<<開戦ドラムを打ち鳴らすバイデン>>
2/10、バイデン米大統領はNBCニュースのインタビューで、「ウクライナにいるアメリカ国民に一刻も早く国外に出るよう」呼びかけ、「テロ組織と取引しているわけではない、世界最大の軍隊を相手にしているのだ。事態は急速に悪化する可能性がある。アメリカとロシアが互いに撃ち合い始めたら、それは世界大戦になる。我々はこれまでとは全く異なる世界にいるのだ。」と警告。
イギリスのジョンソン首相も同じ2/10、欧州が「過去数十年で最大の安全保障上の危機」に直面している、と呼応。
翌2/11、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)

利益相反:バイデン政権が開戦ドラムを打ち鳴らし、ヨーロッパは平和を模索

はホワイトハウスで行った記者会見で、「ロシアは空爆で侵攻を開始する可能性があり、出国が困難になる恐れがあり、ウクライナ国内にいる米国民に対し24─48時間以内に退避するよう」呼び掛け、「侵攻はいつ開始されてもおかしくはない、首都キエフへの奇襲もあり得る」とし、「事実上何の予告もなく、出発を手配するための通信が遮断され、商業輸送が停止される可能性がある」、「五輪閉幕前にも侵攻の可能性」があるとまで発言。
2/12、米国務省は、土曜日の早い段階で、キエフ大使館の約200人、ほぼ全ての米国人スタッフが退去する予定である、と発表している。
こうした一連の発言、報道に対して、ロシアは、一貫してウクライナへの侵攻を繰り返し否定しており、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、「ホワイトハウスのヒステリーがこれまで以上に鮮明になった」とし、「アングロサクソンは戦争を必要としている。どんな代償を払ってもだ。挑発、偽情報、脅しは自分たちの問題を解決するための常とう手段だ」と述べている。

これらは、作り出された危機である。ロシア軍がウクライナに侵攻する寸前であるという米英共同の作戦であり、他の欧州諸国が乗ってこない焦りの産物でもある。この作り出された危機によって、ロシアの国境にさらにNATO軍の重装備を一層拡大し、緊張を激化させる口実として使われているのが実態である。
極論すれば、米英のバイデンやジョンソン両首脳は、ロシアに「ウクライナに侵攻してくれ」と懇願しているようなものである。バイデン、ジョンソン、どちらも国内支持基盤が低落の一途をたどり、軍産複合体と石油独占資本にぼろもうけの機会を提供し、緊張を激化させることで、政権批判の矛先をかわそうとしているのである。

肝心の危機に直面しているとされるウクライナ自身がこの間、パニックを煽り、危機を作り出さないでくれ、と一貫して否定し続けているのである。ウクライナのゼレンスキー大統領は、「アメリカのレトリックが危機を生み出しており、ロシアの侵攻の脅威が昨年4月から高まっているとは考えていない」、ロシアの侵攻はまだ「あり得ない」と述べている。キエフ – ウクライナ大統領府のミハイロ・ポドリャク氏は声明で、「状況を率直に評価すると、非エスカレーションのための外交的解決策を見つける可能性は、さらなるエスカレーションの脅威よりもまだかなり高いと言える」と主張している。さらに ウクライナのクレバ外相も、戦争が間近に迫っているというアメリカの予測を「終末論的な予測 」だと一蹴し、「信じるべきではない」と述べている。

<<本音が現れた!>>
2/7に訪米したドイツのショルツ首相と会談した後、バイデン大統領は共同記者会見で、ロシアがウクライナに侵攻すれば、「天然ガスパイプライン・ノルドストリーム(Nord Stream)2はなくなる」、「我々はそれに終止符を打つ 」と発言している。ここに本音が現れている。ドイツはウクライナ危機に対応した軍の派遣も、武器の供給も拒否しているが、ショルツ氏は、ロシアが侵攻した場合、ドイツはパイプラインの「プラグを抜く」のかと問われると、同盟国との結束を強調したが、ドイツと直結するパイプラインに「終止符を打つ 」確約はしなかったし、できなかったのである。
ドイツは天然ガス供給の50%以上をロシアに依存しており、ロシアのバルト海沿岸からドイツ北部に直接つながる海底を走るノルドストリーム2が稼働すればさらにその依存度が高まるであろう。また、ロシアはEU全体のガスの約3分の1を供給しており、石油も約4分の1を供給している。軍事同盟であるNATOは、欧州がロシアのガスに依存していることを「懸念している」と繰り返し述べ、米国は一貫してヨーロッパにこのプロジェクトのキャンセルを要求し、米英石油資本から、ロシアのガスの約4倍の高価格でエネルギー需要に対応することを要求してきたのである。米英は、このノルドストリーム2を破壊

バイデンはガス輸出を促進し、パイプラインの株式で議員を儲けさせる         ヨーロッパへのガス輸出急増でパイプライン株で利益を上げる米国議員

したいのである。

これを裏付ける経済的背景として、だぶつくアメリカの原油生産量が上げられる。米エネルギー情報局(EIA)が発表した2022年1月の短期エネルギー見通しは、米国の原油生産量が2022年に平均1,200万B/D、2023年に1,260万B/Dに増加し、年間過去最高を記録、2023年に日量1240万バレル(bpd)の新記録を達成すると、生産量見通しを上方修正している。
しかし問題は、米国の非在来型石油・ガス生産は、ロシアやOPECの生産能力には到底太刀打ちできないほど、高価格であり、環境破壊型なのである。

西側民主主義の結束の象徴としての軍事同盟・NATOは、実は米英エネルギー独占資本、ならびに軍産複合体の独占的利益追求の道具として使われているのである。いろいろと難癖をつけてきたのであるが、今や、ロシアを競争相手として排除する唯一の方法が、戦争となったわけである。

一方、フランスのマクロン大統領は「今日のロシアの地政学的目的は明らかにウクライナではなく、NATOやEUとの同居ルールを明確にすることだ 」と主張し、米国のシナリオを明確に否定している。モスクワでプーチン大統領と会談したマクロン氏は2/8、「プーチンから紛争をエスカレートさせないという誓約を得ることに成功した」、「私の目的は、ゲームを凍結し、エスカレーションを防ぎ、新しい展望を開くことだった…私にとってこの目的は達成された。」と述べている。

米英が「世界大戦」の瀬戸際にまでエスカレートさせだしたのは、こうしたモスクワとフランスとドイツとの間の対話を頓挫させ、挫折させ、弱体化させようとする明確な意図の産物でもあろう。それはまた、米英の政治的・経済的危機の明確な反映でもある。しかしそれは頓挫せざるを得ないし、させなければならないほど、危険極まりないものである。
(生駒 敬)

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【投稿】菅前政権よりグダグダー岸田首相のコロナ・オミクロン株対策―「防疫」から「医療」への転換を図れ

【投稿】菅前政権よりグダグダー岸田首相のコロナ・オミクロン株対策―「防疫」から「医療」への転換を図れ

                             福井 杉本達也

1 菅政権下のコロナ対策担当者を復帰させる

2月9日付けの日経新聞は「政府は新型コロナウイルスワクチンの3回目接種加速に向け体制を整える。菅義偉政権時代に担当閣僚の河野太郎氏を支えた官僚を堀内詔子ワクチン相のチームに戻し始めた。堀内氏の実動部隊を強化し、首相官邸と省庁横断で連絡を円滑にする狙いがある。」と報じた。実は、現在のワクチン担当者は「10月に発足した岸田文雄政権はワクチン行政を本来担う厚生労働省を軸にする体制に戻した。」というのである。本来の行政の担当部門からすれば厚労省が行うのことが筋ではあるが、あまりというべきか、やっぱりというべきか、厚労省の担当部門が全く機能していないということを暴露したものである。堀内ワクチン相の国会答弁では、“目が泳いでいる”とか、官僚作成の答弁書をひたすら読んでいるとの指摘がなされていたが、厚労省担当部局の能力が全くないのでは堀内氏の“目が泳ぐ”のも仕方がない。

 

2 原則8か月という3回目ワクチン接種時期の大失敗

岸田政権での3回目ワクチン接種時期は当初11月までの段階では、2回目接種から原則8ケ月とし、最も早い医療従事者、次に高齢者から順次行っていくとしていた。それを、11月15日には自治体の判断で6カ月も容認するとした。方針転換したのは、海外で、接種後半年でワクチンの効果が低下し、ブレークスルー感染するとの報告が相次いだことが分かったことによる。高齢者は昨年6~7月頃までには多くの自治体で2回目の接種が終わっており、半年後とは2021年12月~2022年1月頃である。しかし、その後も厚労省は原則8カ月に固執した、2月9日の記者会見で、小池知事は、2021年の年末に、3回目の追加接種を、できるだけ早く始めるよう政府に求めたところ、「それはいかん。みんな足並みを揃えていくんだ」などと言われたとし、厚労省の方針が二転三転したことを明らかにした(FNN:2022.2.8)。結果、免疫が低下した時期がちょうど、オミクロン株の感染拡大期となり、2月上旬の段階でも、感染のピークは見えない。若者から学校・保育園に感染が拡大し、これが家庭を通じて、高齢者施設や病院に持ち込まれると、免疫力が低下した高齢者などが感染し重症化する恐れが強い。岸田首相は今頃になって「100万回接種」実現をと表明したが、3回目接種率5.9%(7日時点)はOECD38カ国中、最下位である。東大先端研の児玉龍彦教授は科学的根拠もなくワクチンの3回目接種・原則8カ月を強硬に唱えた厚労省の担当者は更迭すべきだとしている(「デモクラシータイムス」:2022.2.5)。

 

3 PCR検査の拡大を拒否し、医師が診断せず「みなし陽性」導入という医療崩壊

東京都の2月7日現在のコロナ検査の陽性率は40.1%となった。10人検査すれば4人が陽性ということである。上昌弘医療ガバナンス研究所理事長は「検査の体をなしていません。感染が急拡大し、かつ検査件数が圧倒的に不足しているからです。発表される新規感染者数は実態からは大きく乖離してしまっている。」(『ゲンダイ』2022.2.9)と指摘している。感染者数は発表される人数の数倍に及ぶと思われる。発熱外来もパンクし、検査キットも不足する中、症状が出た人でも重症化リスクの低い若者などは、PCR検査や医師の診察を受けることなく“陽性”と診断する「みなし陽性」を導入した(福井:2022.1.28)。「みなし陽性」を導入した自治体は少なくとも21都道府県に上る。これはどのような症状なのかという医師の診察などを受けずに自ら判断するもので完全なる医療崩壊である。「国民は病気になれば、医療から切り捨てられる」のである。まともな考えの持ち主ならば口が裂けてもこのようなことを口にはできまい。このような重大な事項を「医療現場逼迫、窮余の策」(福井:同上)などと、あたかもそれが正しいことのような見出しをつけて政府の方針を垂れ流すメディアは、もう報道の責任を完全に放棄したといってよい。

 

4 医療圧迫の元凶は厚労省の防疫に著しく偏ったコロナ政策

ついに「大阪府 コロナ 新たに1万1990人感染確認 過去未集計分7625人も」(NHK:2022.2.3)という目を疑うような見出しが躍った。あまりにも膨大な感染者の発生で、感染者の多くはほったらかし、PCR検査や濃厚接触者の追跡どころか、感染者の集計さえできないところまで追い込まれたといえる。維新の橋下―松井―吉村の悪政による大阪市の保健所機能を1か所に集中し、二重行政だとして府・市の検査機能を統合し、市立住吉病院などを廃止したつけが回ってきた結果ではあるが、これに対し、松井大阪市長は「マンパワー不足」と説明し、「100%対応せえと言われても、人材も含め持ってる資源の中では非常に厳しい」と開き直るしまつである。完全に行政の責任を放棄した態度である。

わだ内科クリニックの和田眞紀夫院長は「同じコロナウイルスを相手にしていながら、医療と防疫とでは月とすっぽんほど全く異なる視点でウイルスに対処する。まず対象としている相手は医療では一人の人間であって複数の人間をまとめ治療することなど決してないが、防疫は社会全体を対象としている。コロナ対策の柱であるワクチン、検査、治療薬にしても医療と防疫では全く違った見方をする。」「医療ではその個人の治療のために患者さんを入院させ、病気がよくなれば退院させるが、防疫では感染者を隔離するために感染者を入院させて、その人がほかの人に病気を移さなくなったどうかで退院を決める。すべての人に共通する入院基準とか退院基準などというものは医療の世界ではありえない」。「防疫は未知の新興感染症の侵入とまん延を防ぐために行われるものであり、コロナがすでに日本中で市中感染を起こしていることが明らかになった2年前にその役割を終えるべきものだった。今からでも遅くはない。第6波が収束したら直ちに行うべきことは、防疫に関わる人には退陣していただいて、根詰まりの原因となっている法律の整備に取り掛かることである。おかしなことにいつの間にか防疫の目的が医療の逼迫を回避することに置き代わっているのだが、皮肉なことにその防疫偏重のコロナ政策を続けていることがかえって医療を苦しめている」(医療ガバナンス学会・メールマガジン:2022.2.8)と書いている。各感染症病院に10床や20床の感染症病床を確保し、厚労省→感染研→保健所という戦前―戦後1980年頃までの結核の時代の隔離政策は、エボラ出血熱などの特殊な感染症には適用できるが、オミクロン株のような大規模な感染症には通用しない。もう防疫に特化した感染症対策は終わりにしなければならない。日本のすべての医療資源を活用し、ふつうの病気と同じように健康保険の下で一般医療機関で普通の検査・治療ができる体制の提供を工夫しなければならない。2歳児の実態も把握できず、社会防衛の観点のみから「2歳児にマスク」というばかげた提言しかできない“専門家”は即退陣すべきである。

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【書評】『誰が命を救うのか──原発事故と闘った医師たちの記録』

【書評】『誰が命を救うのか──原発事故と闘った医師たちの記録』
            (鍋島塑峰著、論創社、2020年9月発行、1,800円+税)

 2019年3月9日に放映されたNHKのETV特集『誰が命を救うのか 医師たちの原発事故』を担当したディレクターの記録である。
 2015年NHK福島放送局に異動し、2016年3月、NHKスペシャル『“原発避難”七日間の記録 福島で何が起こっていたのか』の放送に関わり、その後改めて、事故直後に現場に立った医療者の視点で原発事故を記録しようと番組制作に取りかかった著者は、報道されててこなかった話の多さに驚愕する。「病院で酸素を待っている患者がいたのに屋内退避区域に業者が入ってこなかった。ドライバーは入ろうとしていたのだが、本社に止められた」、「寝たきりのおばあちゃんを残して家族が避難した。枕元に水とおにぎりを置いていたのだが、家族が戻ってこないうちに、おばあちゃんが亡くなってしまった」等々。
 そこで可能な限りでの東日本大震災と原発事故についての放射線医学総合研究所、福島県立医大、広島大学、消防庁、DMAT(災害派遣医療チーム)などの記録を読み起こし、当時の緊急被ばく医療に携わった医療者へのインタビューを通じて、「そのとき 何が起こっていたのか」を当事者の目線で記録を残すことを始めたのである。
 この膨大な作業の結果として現れてきたのは、原発事故では「各組織がそれぞれの現場で混ざり合いながら対応に追われていた」、「医師たちの証言から見えてきたのは、いわゆる『原子力安全神話』のもと、十分な体制が整備されてこなかった緊急被ばく医療の実態であった」。
 本書のそれぞれの証言はこのことを裏打ちしている。「一般的な災害現場での活動に関しては精通し、準備をしていながら、原子力災害には備えていなかったDMAT。そして原子力事業所の周辺にまで被害が広がった場合を想定していなかった緊急被ばく医療体制。それぞれの死角が突かれたかたちだった」。
 例えば、原発からの避難指示が出ていた半径20キロの圏内には高齢者を中心とする1000名近くの入院患者・施設入所者や医療スタッフたちがいたが、これらの人々は避難バスに乗せられ長距離移動を余儀なくされた。
 「搬送途中のバス社内の様子を、ある医師が撮影していた。バスのなかに体調の悪い患者がいるため、対応してほしいという連絡を受け、駆けつけたのだった。/撮影された映像委は、布団などにくるまれた高齢者がシートに力なく腰かけている姿が記録されていた。車内に乗り込んだ看護師が、緊迫した声をあげる。
 「こっちこっち、手がはさまっている。手を離して」「おばあちゃんの下にもうひとりいるの」「え、この下に?」「生きてはいるけど埋まってる。次、助ける。待っていて」
 バスのなかの患者は、ほとんど寝たきりの高齢者、自力で体を支えられない人たちがバスで搬送中にシートからずり落ちて、座席の下で折り重なっていた。泡をふいている人もいる。カルテもない。名前もわからない。
 「先生、この人、死んでいる」
 車内を確認したところ、バスのなかでは、すでに二名が亡くなっていた。/医師は救急車両を手配し、心臓マッサージをおこないながら近くの病院に搬送した。
 「こんなことが起こるなんて・・・」
 その他、オフサイトセンター(原子力災害時に現地対策本部が置かれる前線拠点)が有効に機能しなかった事実、3号機爆発後の汚染患者受け入れをめぐる混乱、極限に達した医療従事者のストレス・疲労など深刻な事態が生じたことが記録されている。
 この中で奮闘した医療従事者の方々には頭が下がるが、本書は指摘する。
 「東京電力福島第一原発事故から九年。原子力緊急事態宣言は、二〇二〇年のいまも続いている。/あのとき医療者たちが直面した大きな課題。原子力安全神話のもと、おざなりにされてきた備え、そして一人ひとりが迫られた重い決断──。/その教訓はいま、生かされているのだろうか」。
 そして「未曽有の原発事故によって、多くの不備が露呈した日本の緊急被ばく医療体制。その後、体制は見直されてはきているが、まだ道なかばである。その一方で、各地の原子力発電所は再稼働をはじめている」と。
 つまり国は、電力事業が国民一般の生活の重要な基盤であるがゆえに、事故などで電力の事業所が危殆に瀕した場合には国の主導のもとに国民の生命を守らなければならないのは当たりまえのことである。しかし国はこれについて責任をあいまいにしたままで「事業者責任」という言葉を隠れ蓑にして知らぬ存ぜぬを決め込んでいる。
 このような国の姿勢に対して、ある識者は憤る。
 「たとえば、くだんの放水作戦にしても、今回はたまたま東京消防庁が応じてハイパーレスキュー隊が原発構内で作業に当たりましたが、これは本来、消防の業務ではないんです。問題は、誰がそこを救うのかということを、国がちゃんと決めてこなかったことにあります。そして、じつはいまも決めていない。私はここに、大きな誤りがあると思います」。
 原発を再稼働させる前に、この部分をきちんと決めておかなければならない。しかし懸念は置き去りにされたまま「復興」は進んでいるとされる。将来への警告の書である。(R)

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【投稿】小児甲状腺がんの隠ぺいを図る岸田政権―小泉元首相ら5人のEUへの書簡に慌てふためくー

【投稿】小児甲状腺がんの隠ぺいを図る岸田政権―小泉元首相ら5人のEUへの書簡に慌てふためくー
                            福井 杉本達也

1 元首相ら5人の「EUタクソノミーから原発除外を」との書簡に文句をつけた政府

1月27日、小泉純一郎・細川護煕・菅直人・鳩山由紀夫・村山富市の5人の元首相が、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長宛てに「EU タクソノミーから原発の除外を」という書簡を送った。書簡では「欧州委員会が、気候変動対策などへの投資を促進するための『EU タクソノミー』に原発も含 めようとしていると知り、福島第一原発事故を経験した日本の首相経験者である私たちは大きな衝撃を受けています。」とし、「何十万人という 人々が故郷を追われ、広大な農地と牧場が汚染されました。貯蔵不可能な量の汚染水は今も 増え続け、多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ、莫大な国富が消え去りました。この過ちをヨーロッパの皆さんに繰り返して欲しくありません。」「EU タクソノミーに原発が含められることは、処分不能の放射性廃棄物と不可避な重大事故によって地球環境と人類の生存を脅かす原発を、あたかも『持続可能な社会』を作るもののごとく世界に喧伝するものです。」と切々と訴えている。

これはぐわいが悪いと嚙みついたのが岸田政権で、2月1日付の山口壮環境大臣名で、同書簡は「福島県の子どもに放射線による健康被害か“生し”ているという誤った情報を広め、いわれのない差別や偏見を助長することが懸念されます。」とし、「福島県が実施している甲状腺検査により見つかった甲状腺がんについては専門家会議により、現時点では放射線の影響とは考えにくいという趣旨の評価がなされています」と注意文を出した。これを、新聞各紙はそろって「原発事故巡り不適切表現」「環境相、元首相5人注意」と報道した(日経:2022.2.3)。あたかも元首相5人が人権無視をしたかのようにである。

 

2 甲状腺がんで6人が東電を提訴

小児甲状腺がんは、通常100万人に1〜2人(年間)と言われる極めて珍しい病気で、チェルノブイリ原発事故後に増えたことが明らかとなっている。福島原発事故で、現在、甲状腺がんが確認されているのは293人である。1月27日に、事故当時6~16歳で、福島県に住んでいた男女6人が、東電に計6億16 00万円の損害居慣を求めて東京地裁に提訴した。しかし、その新聞での扱いは極めて冷淡なもので、わずか30行程度の申し訳記事であり、「福島県の専門家会議は、甲状腺がんと被ばくと甲状腺がんの因果関係について『現時点で認められない』とし」、「訴訟では因果関係の有無が最大の争点になる見通し」と訴訟を応援する気は全くなく、なぜ今頃政府に楯突くのかという暗い見通しを解説している(福井:2022.1.28)。

 

3 甲状腺がんを隠して、福島第一原発事故の被害を極小に見せようとする政府

甲状腺がん⼿術件数が数⼗倍以上になっているのは厳然たる事実であり、 福島原発事故の放射能以外に原因は考えられない。甲状腺の内部被曝の原因となる放射性ヨウ素は⾃然に半分になる「半減期」が8⽇で、測定できる期間は短い。チェルノブイリ事故の事例でも問題になったのに、国はわざと測定しなかった。これまでの放射線影響否定の常套手段は,地域差がみられないことと,チェルノブイリとの比較で,「線量が低い、5歳未満の低年齢での症例が少ない、遺伝子変異が異なる、充実型がない」というものである。

甲状腺がんに関する臨床データは福島県「県民健康調査」検討委員会や評価部会で,当然共有されるべきものであるが、学会や論文で発表された内容ですらなかなか公表されず。それに反し放射線影響を否定するような論文は,検討委員会や評価部会でしっかりと“論文報告”され,公式資料の一部となる傾向があり、国外への情報発信の偏向がうかがえる(平沼百合「福島県の甲状腺検査についてのファクトシート」『科学』2021.6)。

こうした偏った情報の受け手であるUNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)の2020年報告書にも同様のことが記載されている。線量については,実測データが不十分である上,汚染食品の流通は無視されており,回答率の低い基本調査による事故後4カ月間の外部被ばく線量推計値の信頼性という問題がある。もともと歪んでいる福島のデータから,さまざまな歪んだ解析論文がでて,さらに歪んだ解釈から「福島の甲状腺がんは潜在がんの過剰診断Jという新たな歪みが生まれ,それが国際機関の勧告に取り込まれて拡散されるというストーリーが展開されている(平沼:同上)。

過剰診断とは,がん検診などで,無症状で生涯おとなしく,治療も必要としなし、小さな腫瘍を発見することにより,がんの見かけ上の催患率が上昇する現象である。しかし、たとえ微小がんでも甲状腺外浸潤もリンパ節転移の割合が高く手術適応となり,遠隔転移も3例出ており,とても過剰診断とはいえない。だが、御用学者は、放射線影響ではなく,スクリーニング効果で潜在がんを見つけているだけの過剰診断だ・集団スクリーニングはすべきでないと騒ぐ。

地域差については、津田敏秀岡山大教授の2015年の分析によれば、汚染の高い相双地域で高くなり,汚染の低い会津地方や県北東部 では低くなっている。放射性セシウムによる土壌汚染は低いものの,放射性ヨウ素の通り道になったいわき市でも高い傾向にある。初期被ばく線量がまったくと言っていいほど計測されていないが,疫学理論にしたがって分析を行うとここまで見えてくる(山内知也『科学』2018.9) 。

「事故直後から構想されていた県民健康調査には,広島・長崎の原爆訴訟が意識されており、(県民健康調査)データは原爆訴訟と同様に貴重な訴訟資料となりうる。発がんリスクが 1%あれば他要因での発がんでも裁判では原告勝訴となる、という発言(発言者不明)が記録されている。県民の健康を見守るための調査だと言いながら、最初から訴訟の際の証拠として捉えられている。どうしても,放射線の影響はあってはならないのだ。その視点から考えると、データの不透明さや不完全さ,それから生じる議論の歪みも筋が通る。結論ありきの調査というわけだ。」(平沼:同上)。

日本政府は福島第一原発事故直後から、事故の“収束”どころか事故の隠蔽に走った。それは最初から放射性のヨウ素131の計測をしなかったこと、原子力発電所などから大量の放射性物質が放出されたり、そのおそれがあるという緊急事態に、周辺環境における放射性物質の大気中濃度および被曝線量など環境への影響を、放出源情報、気象条件および地形データを基に迅速に予測するSPEEDIシステムを使用せず、避難住民を放射線被曝を強要したこと、日本気象協会長を通じて、放射能が向かう風向きなどを勝手に公表するなと圧力をかけたことなど等々である。データなど取らず、証拠になるものを最初からなくしておけば責任を問われないという算段であった。

今回の5人の元首相による「EUタクソノミーから原発除外を」の書簡は、小児甲状腺がんの多発など福島原発事故後の日本がいかに悲惨な状況にあるかを海外に赤裸々に示した。国民の命を何とも思っておらず、最初から命の値段を切り下げようと画策する姑息な政府首脳・官僚・電力事業者を刑務所に収監しないかぎり、日本に未来はない。

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【投稿】歴史の経過を踏みにじり、他国の内政に干渉する衆議院の「新彊ウイグル決議」

                            福井 杉本達也

1 衆院の「新彊ウイグル決議」は中国への重大な内政干渉

北京冬季五輪開幕が目前の2月1日、衆院本会議で「新疆ウイグル自治区やチベット自治区など、中国での人権状況に懸念を示す決議」が自民・公明両党や、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、共産党など与野党の賛成多数で採択された。決議は、中国での人権状況について「近年、国際社会から、新疆ウイグル自治区やチベット自治区などで、信教の自由への侵害や強制収監をはじめとする深刻な人権状況への懸念が示されている」と指摘。そのうえで、中国政府を念頭に「力による現状の変更を国際社会に対する脅威と認識するとともに、国際社会が納得するような形で説明責任を果たすよう強く求める」とした。決議を受けて、林外務大臣は「これまで新疆ウイグルの人権状況などに対しても、日米首脳会談やG7の場を含め、わが国として深刻な懸念を表明するなど、価値観を共有する国々とともに連携しつつ取り組んできている。決議の趣旨も踏まえ、政府として、引き続き、国際社会と緊密に連携しつつ着実に取り組んでいく」と述べた。本会議に先立って開かれた議院運営委員会では、日本維新の会と国民民主党、共産党から、決議には賛成するものの、中国政府による人権侵害をより明確にすべきだったなどの意見が出された。決議を提出した日本ウイグル国会議員連盟の会長を務める自民党の古屋政調会長代行は「五輪前に決議できたことは一定の成果」だと強調し、立憲民主党の泉代表は、「国際社会の声も踏まえ、わが国も当然人権をしっかり守らなければならないという立場を示した」と述べた。(NHK:2022.2.1)。

新疆ウイグル問題は、2018年9月に米人権活動家らが「中国のウイグル族ら100万人以上が新彊ウイグル自治区の再教育施設に強制収容されている」と“報告”し、当時のポンペオ国務長官らが中国への制裁を打ち出し(日経:2018.9.17)、さらに2019年には国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が「ウイグル族弾圧の内部文書」を入手したと報道し(日経:2019.11.28)、2019年12月に米下院が「ウイグル人権法」を可決したことには始まる。しかし、これは伝聞に過ぎず、ウイグル族を弾圧したという何の裏付けもない。そもそも、100万人もの住民を収容するなどという施設規模はばかげた話である。伝聞に過ぎない事をあたかも真実であるかの如く装い、他国に内政干渉するというのが、これまでの米英の手口である。それを、「属国」としては米英に遅れるなとして追随したのが今回の衆院の決議である。

新彊ウイグル自治区では2009年7月に自治区の中心地ウルムチで漢民族とウイグル族の衝突が起こり、197人が死亡している。その後も2014年5月には130人が死傷する暴動が起きるなど、貧富の格差が拡大している中国内政の弱点となっており、その弱点を突きたいというのが、米欧による制裁の本音である。

 

2 「内政不干渉」をうたった日中共同声明と日中平和友好条約

日本と中国おいては、1972年、田中首相が訪中し、「内政に対する相互不干渉」の基礎の上に「両国間の恒久的な平和友好関係を確立する」とする日中共同声明が出された。そして、78年 に日中平和友好条約が締結され、第1条において「内政に対する相互不干渉」の原則を掲げられている。衆院の決議は中国の一部である新彊ウイグル自治区の民族問題に関する明確な内政干渉である。

むろん、新疆ウイグル自治区と臨海部との経済格差や漢族の進出による経済的・文化的軋轢・北京語の優先とウイグル語の衰退といった中国国内の問題点は多々ある。しかし、それは中国自らが解決していかなければならない課題であり、他国が思い付きのように介入したところで解決できるものではない。まして、米国は、かつてテロリストとして指定していたウイグル系団体について、利用できるものは利用するとして自己都合でテロ指定を解除するダブルスタンダードである。孫崎享氏は「近世の国際政治を見れば、内政干渉はその問題の解決にならず、逆に新たな対立を生み世界を不安定にしてきた からだ。さらに、特定の国の多くの政治的現象は歴史、社会的環境に深く根差しており、国際社会の干渉程度では 改善できないのである」と述べている(孫崎:2022.1.7)。

 

3 「ウエストファリア条約」と「国連憲章」の精神を踏みにじる

「主権国家」とその国家間の「内政不干渉」を定めたのは1646年のウエストファリア条約である。それ以前の約130年間、ヨーロッパは1517年のルターの宗教改革に始まり、ドイツ農民戦争・オランダ独立戦争・30年戦争と続く、「長い16世紀」に宗教の教義の違いから激しい戦いが繰り広げられた。この戦いを終結させるために「宗教から独立した領域を承認し、それを基礎として現世に秩序を形成するもの」として主権国家が登場したのである。したがって、主権を持つ諸国家はそれぞれ対等だという建前の上に成り立っている。狭いヨーロッパのなかで、国境線を引き、他国には干渉せず、お互いの主権を尊重し合うといシステムである。無論、この「主権国家」の外側は「略奪」と「ジェノサイド」の世界であった。東欧であれ、中近東・インドであれアフリカであれ、新大陸であれ、清朝や朝鮮・東南アジアを含めてである(参照:水野和夫『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』)。西欧・北米にのみ適用されていた「主権国家」を全世界的規模で適用することとなったのが、第二次世界大戦後の1945年10月に創設された国際連合である。戦中に、米英ソ中の4国が「すべての国の主権平等に基礎を置き、大国小国を問わずすべての国の加盟のために開放される、国際の平和と安全の維持のための一般的国際機構」として構想されたものである。国連憲章第2条7項は、「この憲章のいかなる規定も、本質上いずれかの国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国際連合に与えるものではなく、また、その事項をこの憲章に基く解決に付託することを加盟国に要求するものでもない。」としており、今回の衆院決議は明確に国連憲章に違反している。

 

4 建前としての「主権国家」と内政に干渉する「非公式の帝国」

建前では全ての主権国家は平等である。しかし、主権国家の平等性は国内秩序を維持できても、国際秩序やさらに上位概念である国際秩序は安定しない。そこで国際秩序に責任を持つとして「非公式の帝国」が登場した。帝国は「周辺」に対して内政についても外交についても、全てに影響力を行使し支配する(水野:上記)。1991年にソ連邦が崩壊するまでは、この「帝国」は米国とソ連であり、米国はベトナム戦争や中南米でのクーデター、中東の支配などに関与し、ソ連はハンガリー動乱やチェコの春などに介入した。ソ連が消滅すると米国は「金融・資本帝国」として、金融のグローバリゼーションを通じて、各国に金融の自由化や規制緩和を強制的に導入させ、他国の貯金で自国の経済がまわる仕組みを構築した。内政干渉しながら、世界の富をウォ―ル街に集めた(水野:上記)。もちろん武力でアフガンやイラク、シリアなどにも介入し「ジェノサイド」を行った。また、「属国」NATO軍とともに東欧・旧ユーゴスラビアに介入し、ユーゴ国家を解体した。しかし、その「金融・資本帝国」も2021年8月のアフガン撤退を始めとして、斜陽に向かいつつある。その穴を埋めるべく台頭してきているのが中国であり、米国としては何としても中国の台頭を阻止したい。そのための、ウイグル問題であり台湾海峡危機であり、「属国」に命令しての中国非難の大合唱である。したがって、「人権問題」とは何の関連もない。

2021年11月バルト三国の1つであるリトアニアは台湾の事実上の大使館である「駐リトアニア台湾代表処」を設けた。これに反発した中国はリトアニアの全貿易の通関手続き拒否するとともに、リトアニア製部品を使った製品も影響を受け、EU企業のリトアニアから撤退の動きも出てきている。『CRI時評』は「こうした状況は、リトアニア政府による台湾を巡る誤ったやり方によってもたらされた苦い結果であり、その責任は完全にリトアニア政府自身にある。リトアニア政府は昨年11月、 信義に背いて、台湾当局がいわゆる『駐リトアニア台湾代表処』を設置するのを許可し、『一つの中国』原則に公然と背き、中国の内政に粗暴に干渉し、国交樹立時の両国のコミュニケに盛り込まれた政府としての約束を破った。」と書く(2022.1.25)。2021年4月7日付けの『環球時報』は「中国経済の不断の成長の蓄積が日本に対して持っている吸引力であり、日本の対中輸出はすでに対米輸出を上回り、日本の中国市場に対する依存はすでにできあがっていて、このことは日本が中米間で身を処するに当たって重大な制約となっている」と書いていたが、こうした経済関係の強化の中で、どうして「新彊ウイグル決議」という馬鹿な政策ばかりが出るのか。日本国内には「嫌中」が謳歌し、与野党を含め、日本中が中国情勢を客観的に判断できない状況となっている。明日のリトアニアとならないようにしなければならない。

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【投稿】バイデン政権の戦争挑発と軍需産業--経済危機論(73)

<<「パニックを煽らないでくれ!」>>
1/28、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアが侵略を計画していると主張する西側諸国が「パニック」を引き起こしていると非難し、地域の状況は現在「制御下にある」、「パニックになる理由はない」と発表した。前日の1/27に、1時間20分にわたってバイデン米大統領と電話会談した後の発言である。この会談でバイデン氏は、ロシアがウクライナ侵略を計画しており、危機が差し迫っていると警告したのに対して、ゼレンスキー氏は、「危険なシナリオ」は存在するものの、ロシア軍の侵攻の脅威は「存在しない」とまで言い切ったのである。バイデン氏にとっては面目丸つぶれである。

この時点ですでにバイデン氏の戦争挑発作戦は崩壊したと言えよう。
これまで西側の援助を引き出すためにゼレンスキー氏自らが煽ってきたロシア脅威論が行き過ぎ、バイデン政権が自らの政権浮揚にこれを利用して、ロシアが侵略を計画していると主張し始めて以来、ウクライナの通貨は暴落。米国が11月に警告を発し始めて以来、

ウクライナのグリブナ通貨は、2015年2月以来の最安値に下落、経済が崩壊の危機寸前の状態に追い込まれる事態を生じさせたのである。政権基盤も不安定化し、ゼレンスキー氏は、「現在の事態はパニックです。私たちの国にとってあまりにも費用がかかりすぎます」と嘆く事態である。
ウクライナ政府の関係者がCNNの取材に対して、バイデン氏との電話会談は「うまくいかなかった」、ロシアの攻撃の「リスクレベル」をめぐって両首脳の意見が食い違ったことを明らかにしたのであるが、ホワイトハウスはこの報道を否定。国家安全保障会議のエミリー・ホーン報道官は、ウクライナ当局者がCNNに話したことは 「事実ではない 」と主張。この通話をめぐる混乱から、共和党は、トランプ大統領が弾劾されたゼレンスキーとの通話と類似しているとして、バイデンに「会話の記録を公開」するよう求められる事態に発展している。
当然、NATO諸国においてさえ、米英の好戦的・威嚇的な姿勢から脱却する動きが表面化し始め、ドイツは中立性を明らかにし、スウェーデンはウクライナへの武器輸出を禁止し、クロアチアは戦争になればNATOから全軍を呼び戻すと声明を発表している。フランスのマクロン大統領は、「我々はモスクワとの対話を決してあきらめない」と述べ、NATO諸国間の亀裂が表面化しだしている。
しかし、すでにバイデン大統領は、この地域に駐留する8500人の米軍に厳戒態勢を命じ、米議会は早ければ来週にも、ウクライナに5億ドルという途方もない額の新兵器を供与し、軍事援助先としてウクライナを第3位に浮上させる大規模防衛パッケージ法案を通過させようとしている。

一方で、1/26、ロシアとウクライナはパリで会談し、両者はウクライナ東部の紛争地域・ドンバスでの停戦合意を確認しているが、ロシアのラブロフ外相は、この地域に配備されている約10万人の「膨大な数の軍人」をウクライナ政府は管理できていないことについて警告している。つまり、アメリカはこの地域で起こるあらゆる暴力、武力衝突を、すべてモスクワのせいにする態勢で待ち構えてもおり、ゼレンスキー政権がこの米側の意図に沿わないとみれば取り換える算段でもあることを示唆している。ウクライナをめぐる危機は、まだまだ煽られ、利用される事態が継続しているのである。

<<ほくほくの軍需独占企業>>
このようなバイデン政権の緊張激化・戦争挑発政策に最も期待を寄せ、利益を見出しているのが軍需独占企業であり、エネルギー独占資本であろう。すでに米石油独占資本は、バイデン政権のウクライナ危機激化政策に便乗して、石油・ガス価格を高騰させ、大挙して欧州諸国へガス輸出船団を差し向けている。とりわけドイツにロシア産より高価な米国産天然ガスを売り込み、あわよくばドイツに直結するロシア産ガスパイプライン・ノルドストリーム2を停止、ないしは破壊をさえ期待しているのである。
1/25、米軍需独占企業・レイセオン・テクノロジーズCEOのグレッグ・ヘイズ氏がCNBCの「Squawk on the Street」に出演、同社の最新の第4四半期業績報告について説明したなかで、ロシア・ウクライナ情勢について語り、米国の同盟

国を武装させる上で同社が果たすことができる役割を自慢し、「ミサイルシステムや役立つ可能性のあるいくつかの防御兵器システムを提供できます。」と述べ、「東ヨーロッパの緊張、南シナ海の緊張、これらすべてが、防衛費増大の圧力を強め、私たちはそれからいくらかの利益が得られることを完全に期待しています」と言い放っている。
1/25に発表されたレイセオン・テクノロジーズ(RTX)2021年第4四半期決算説明会議事録で、同氏は「当社は今期も堅調な業績を上げ、通期ではトップラインとボトムラインの両方が成長し、50億ドルのフリーキャッシュフローを達成しました。これは、2020年の実績の2倍以上です。」「また、世界的な脅威の高まりを受け、当社の製品およびサービスに対する国際的な需要は引き続き旺盛です。航空宇宙・防衛分野への注力と1,560億ドルの受注残は、2022年以降も事業を成長させることができると確信しています。」「防衛関連の受注残は630億ドル超と引き続き堅調で、IRSとRMDの受注残高はいずれも1.0をわずかに上回る水準で1年を終えました。年初の大型受注に加え、第4四半期には13億ドル超の機密案件、IRSの6億7000万ドル超の電子光学赤外線案件、RMDの7億3000万ドル超の標準ミサイル2量産案件など、注目すべき受注がありました。」、「中東であれアジア太平洋地域であれ、敵対関係が発生した場合、すぐにその恩恵にあずかれるわけではありません。しかし、2022年以降になれば、国際防衛費は回復し、帳簿価額も倍以上になると期待しています。」と、実に露骨である。

同じく、軍需独占企業のロッキード・マーティンの会長兼社長兼最高経営責任者であるジム・テイクレートは、1/25の 決算発表で、「北朝鮮、イラン、そしてイエメンや他の場所、特に今日のロシア、そして中国を含むいくつかの国が取っている脅威レベルとアプローチを見ると、会社にとってより多くのビジネスの前兆となっており、私たちは傍観せず、それに対応できる必要があります。」と述べ、「アラバマ州コートランドに、ミサイル・射撃統制と宇宙極超音速プログラムの両方をサポートするインテリジェントな先進極超音速攻撃機生産施設をオープンさせました。」と報告、さらに「国防総省の予算について簡単に触れます。今期、米国議会は2022会計年度国防権限法を上下両院の強力な超党派の支持を得て可決しました。その後、NDAA政策法案はバイデン大統領によって署名され、成立しました。この法案では、国防省の防衛プログラムに250億ドルの増額を認め、合計約7,400億ドルとなり、投資勘定は大統領の当初の要求額より約8%引き上げられました。」「ロッキード・マーチンとして、今後の事業の成長を促進し、21世紀のデジタル世界の技術を国防事業に取り入れるという当社のビジョンを推進していくことができると確信しています。」「この国防権限法(NDAA)で議会が発表した内容は、本当に心強いものでした。ブラックホークを9機、CH-53Kを2機、C-130Jを4機、そしてTHAAD迎撃ミサイルを12機追加しました。さらに、戦術ミサイルや打撃ミサイルのプログラムへの資金援助も増えました。このように、NDAAの影響は文字通り全社に及んでいます。2022年9月31日までに、継続審議が解決されることを想定しています。NDAAの影響と、それに伴う国防予算の計上を期待し、将来の収益のパイプラインを構築することになります。」と、実に意気盛んである。

ジェネラルダイナミクスも1/26の決算発表で、「ウクライナとロシアで起こっていることはすべて見出しになっています」「戦闘車両に対する東ヨーロッパの需要は高いレベルにある」ことを認めている。

ボーイングも、1/26の決算発表で、副社長兼最高財務責任者のブライアン・ウェストは、高水準の軍事費に対する共和党と民主党の両方の支援が会社の利益に役立っていると述べ、「防衛および宇宙市場では、安定した需要が見られます」、「私たちは引き続き米国の連邦予算プロセスを監視しており、ボーイングの製品やサービスを含む国家安全保障に対する強力な超党派の支持を確認しています。世界的な脅威を考えると、ボーイングの製品やサービスを含む国家安全保障に対して、超党派で強い支持を集めていることが確認されています。」と胸を張っている。
いずれもバイデン政権さまさまである。石油独占体と軍需独占体からバイデン政権が強力な支援がなされるゆえんでもあろう。

しかし、1/28に発表された新しい世論調査の結果によると、大多数のアメリカ人は、バイデン政権がウクライナ危機の外交的解決に向けてロシアと協力し、破滅的な戦争を回避することを望んでいることが明らかになっている。全体の58%が「ウクライナに関する戦争を回避するためのロシアとの取引」を「多少」または「強く」支持しており、民主党支持者では71%が支持し、無党派層では51%、共和党では46%が外交的解決を支持している。

バイデン政権は、インフレが40年ぶりの高水準にあること、バブル経済がいよいよ破綻しかかっていること、パンデミック危機がトランプ前政権よりも悪化していること、政権支持率がどんどん低下してきていること、等々、自らが招いた政治的経済的危機を、対ロシア、対中国の緊張激化・戦争挑発政策で目先を変えさせようとしているが、事態は一層悪化するばかりである。緊張緩和・平和的外交政策に全面転換しない限りは、この危機から脱出することは不可能である。
(生駒 敬)

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【投稿】投機的バブル崩壊への序曲--経済危機論(72)

<<ドットコム・バブル崩壊のアラーム?>>
1/17~21の6日間、ニューヨーク株式市場は続落の事態に直面した。いよいよ異常な事態・バブル崩壊への序曲が始まったのであろうか。
ニューヨーク市場と連動して、日本の日経平均株価指数も2.1%下落(前年比4.4%下落)。フランス・CAC40は1.0%下落(同1.2%下落)。ドイツ・DAX株式指数は1.8%下落(1.8%下落)。スペイン・BEX35株式指数、1.3%下落(0.2%下落)。イタリア・FTSEMIB指数は1.8%下落(1.0%下落)。韓国・Kospi指数は3.0%下落(4.8%下落)。インド・センセックス株式指数は3.6%下落(1.3%上昇)、等々。
週末1/21のニューヨーク株式市場では、米ハイテク大手の決算発表や超金融緩和の出口を探る米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策発表を翌週に控えて警戒感がこれまでになく強まり、株価は6営業日、連日の続落を記録したのである。

ナスダック100の下落が止まらない ドットコム崩壊の警鐘

優良株で構成するダウ工業株30種平均は前日終値比450.02ドル安の3万4265.37ドルと、約1カ月半ぶりの安値で終了。下落幅は6営業日で、計2000ドルを超える異常な事態の展開である。
とりわけハイテク株の売りが止まらず、ハイテク株の比重が高いナスダック100種指数が大きく下げ、4日間で、2020年3月以来最悪の週となり、7.5%下落し、13,768と4週連続の下落を記録。これで11月の終値の高値から14.3%下落したことになる。ナスダック100指数の月間下落率は、2008年の金融危機以降で最大となるペースであった。S&P500も2020年3月以降で最悪の週を記録し、5.7%下落の4,398となり、3週連続の下落となった。1月3日の終値の高値から8.3%下落である。
時価総額では、アップル【AAPL】、アマゾン【AMZN】、メタ【FB】、アルファベット【GOOG】、マイクロソフト【MSFT】、Nvidia【NVDA】、テスラ【TSLA】のハイテク7巨大企業は、1月3日をピークに、それ以降の13取引日で13.4%も急落している。1.6兆ドルの額面上の価値が消失したのである。フェイスブックの親会社メタ・プラットフォームズと、アマゾン・ドット・コムの株価は上場来の高値から、一転して20%以上の下落である。このところ急成長してきたネットフリックスも20%を超える値下がりである。

<<まだまだほんの序曲>>
もちろん、これらドットコムバブルに豊富な資金を提供し、マネーゲームを煽ってきた金融大独占資本の株価指数も暗転しだしている。同じこの週、銀行指数は10.0%下落し、ナスダック100よりも大きな損失となり(7.5%下落)、ゴールドマンサックスは9.7%、JPモルガンは8.1%、バンクオブアメリカは6.2%、シティグループは5.5%も下落している。個人投資家をマネーゲームに引き込んできたロビンフッドは14.3%、ウィズダムツリーは9.7%、インタラクティブブローカーは7.3%、チャールズシュワブは6.6%も沈没している。

実体経済とかけ離れた前例のない投機とレバレッジ、問題のあるデリバティブ、ETF時限爆弾、無数の脆弱な市場バブルなど、今日の脆弱な金融市場構造がいよいよ崩壊の危機に瀕しているのだとも言えよう。
しかし、これらはまだまだ序曲にしかすぎない。投機経済がノーマルであるかのような金融バブルの暴騰の集積と比較すると、十数パーセントの下落ではこれはまだほんの始まりである。
FRBが量的緩和(QE)によって途方もない投機経済を煽り、株価暴騰をを作り上げ、その責任も問われぬままに、インフレ懸念から一転して今度は量的引き締め(QT)を発動だと、政策転換に取り掛かり始めたにすぎない段階なのである。金融引き締め・金利引き上げが開始されるのは3月以降である。姿勢転換だけで、乱高下が常態化し、脆弱な金融投機経済の一端が露呈し始めたのである。本当の暴落はこれからなのである。
FRBがこれまで超金融緩和によって、地方債市場、プライマリーディーラー、マネーマーケット投資信託、REPO市場、国際SWAPライン、ETF市場、一次および二次企業債務市場、コマーシャルペーパー市場に供してきた投機資金はもちろん、よりすそ野の広い住宅ローン、学生ローン、自動車ローン、クレジットカード

緊迫する米上院司法委員会の独占禁止法の抜本的法案の審議

ローンの暗黙の支援も近々に終止符が打たれるか、高金利で破綻するかの岐路に立たされるであろう。
問題は、「ドットコムバブル」へのアラームというようなレベルではなく、米中央銀行・FRBを頂点とした金融資本主義体制そのものの、システミックリスクへのアラーム、警鐘だと言えよう。実体経済に軸足を置いた政策転換に踏み切らない限りは、FRBの今後の利上げサイクルそのものが踏み出すことさえできず、踏み出せば制御不能になる事態さえ想定されよう。
投機経済に終止符を打ち、金融独占資本主義を解体・分割・規制する反独占政策、実体経済を回復させるニューディール政策こそが問われているのである。
1/20、米上院司法委員会は、Google、Apple、Amazonといった巨大企業を対象とした反トラスト法を承認、巨大独占企業の激しいロビー活動にもかかわらず、16対6の圧倒的多数で司法委員会を通過させている。バイデン政権はあいまいな態度をとっているが、この動きは、反独占運動にとって、前向きな一歩であることは間違いない。
バイデン政権の対中国、対ロシアの緊張激化政策は、こうした直面する最大かつ最重要な課題から目をそらし、逃避するものと言えよう。バブル崩壊を目前に控え、緊急に要請されている、こうした反独占政策、ニューディール政策にあいまいな態度をとり、躊躇している限り、バイデン政権はFRBともども迷走せざるを得ないであろう。
(生駒 敬)

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【投稿】カザフスタン「カラー革命」の敗北

【投稿】カザフスタン「カラー革命」の敗北

                            福井 杉本達也

1 米英+トルコ?の干渉で始められた「カラー革命」

カザフスタンでは1月2日より液化石油ガスの価格の急騰をめぐって抗議の波が国を席巻し、警察と衝突し、トカエフ政権は首相を解任した。抗議行動は当初、西部で始まったが、5日には全国でエスカレート、抗議行動はますます暴力化し、4日の夜にはカザフ最大の都市アルマトイとマンギスタウ地域で非常事態と夜間外出禁止令を宣言された。アルマトイの市長舎が襲撃され、タルディコルガンでナザルバエフ前大統領の記念碑が破壊された。アルマトイの彼の前住宅は占拠された。全土でインターネット接続を停止した。アクタウでは、国家警備隊員の一部が抗議行動参加者に加わった。ATMは停止した。アルマトイの国際空港は事実上、反政府派に占拠された。

2 CSTOの迅速な対応による「カラー革命」の鎮圧

トカエフ大統領は暴動について、狙いは政権掌握のクーデターであり、行動は一つの司令塔により調整され、外国の「テロ集団」による外部の侵略行為であるとして、集団安全保障条約機構(CSTO)に派遣を要請した。6日の朝早くには、ロシア主導のCSTOは、秩序を維持するために平和維持部隊を派遣した。プーチンはこの出来事を2014年のウクライナの西側の支援を受けたメイダン・クーデターと比較し、内外両方の軍隊による政府打倒を目指した「ハイブリッド・テロ攻撃」であると断定した。

「トカエフ大統領が、暗号で『一つのセンター』に言及した際、高位の中央アジア機密情報情報提供者によれば、彼はアルマトイの南ビジネスハブに本拠地を置くこれまで『秘密の』アメリカートルコーイスラエルの軍-諜報機関指令室を言っていたのだ。この『センター』には、トルコによって西アジアで訓練されて、アルマトイに密かに送り込まれた破壊工作暴徒を調整する22人のアメリカ人、16人のトルコ人と6人のイスラエル人がいた。」(マスコミに載らない海外記事:2022.1.19)。作戦は、アルマトイ空港を占領して、外国から軍事補給を受け取るハブに変えるはずだったが、ロシア航空宇宙軍は、要請のあった6日には既に行動する準備ができており、電光石火の速さで空港を制圧し反乱を阻止した。

ところで、米軍はシリア・イラクからアルカイダやISの4000人の戦闘員をアフガンへ運び、また米軍やCIAの特殊部隊、1万6000名以上の「民間契約者」もアフガンから撤退せずに居座っている。その一部が、今回「トルクメニスタン国境近くで再編成されたISISだ。彼らの一部が適法にキルギスタンに輸送された。そこからビシュケクから国境を越え、アルマトイに現れるのは非常に容易だった。」(マスコミに載らない海外記事:同上)。

 

3 ナザルバエフ元大統領の完全な引退と暴動の原因

カザフは、1991年12月に崩壊したソ連邦から最後に分離した共和国である。ナザルバエフの下、対外政策は「多ベクトル」であり、欧州とアジア間の“橋”として自身を米欧に「身売り」することであった。ロシアとカザフは大規模な軍事的-技術的絆を持ち、バイコヌール宇宙基地で戦略的協力を行っている。ロシア語は国民の51%が話す公用語であり、少なくとも350万人のロシア人がカザフで暮らしている。ナザルバエフは、2019年に辞任するまで30年近くカザフの大統領を務め、トカエフに交代した。実際には、トカエフとナザルバエフがカザフを率いた移行期間が進行中で、競合する政策は、前大統領と現大統領の間の権力闘争の中で表面化した。CSTO派遣後、ナザルバエフは1月18日、ビデオメッセージで完全に政界を引退すると演説した(日経:2022.1.19)。

昨年12月、ハラルド・プロジャンスキは、カザフはエネルギーの輸出国だが、その利益は、カザフの国家資本主義の高級官僚に搾取されている。カザフの国家と経済の劣化しており、生活水準は低下し、西側諸国の反ロシア制裁政策の影響も受けてトランジット貿易国としてのカザフは経済的、社会的に衰退し、さらに、石油・ガス価格の下落で、年間成長率は2012年の8%から2018年には4.1%に低下した。そこで、カザフの民族主義者は、民衆の不満の高まりを取り込もうとしている。カザフの民主選挙の党首の一人、ガリムシャン・シャカキヤノフは2012年に米国に移住した。党首のルリャゾフはフランスに移住した。2021年3月8日、メッセンジャーサービスとソーシャルネットワークを通じて組織された部隊は、カザフの首都で約2,000人から3,000人の参加者を動員した暴動のテストを行った。カザフでの反ロシアクーデターの候補者の米国による役の振り付けが始まっている。(日刊紙『ダイ・ユンゲ・ウェルト』(独語訳)2021.12.4)と書いている。

 

4 「一帯一路」と資源国カザフスタン

今回、中国はいち早くトカエフ大統領への支持を表明した。習近平主席は7日、「中国は、カザフで故意に不安と『カラー革命』を扇動する外力に断固として反対する。」とのメッセージを表明した(Sputnik 2022.1.8)。なぜ、中国が今回、いち早く行動したかといえば、まず、テュルク系諸民族に対する対応である。テュルク系諸民族は中央アジアに広く分布し、言語的、文化的、歴史的な共通性を持っている。ソ連邦の崩壊後、中央アジア諸国が独立すると、トルコは積極的な経済援助を実施した。また、アゼルバイジャンやトルクメニスタン、ウズベキスタン、タタールスタンでは、従来、キリル文字を使用していたが、ラテン文字の正書法が制定されるなど、テュルク系諸民族の一体性が強調される動きが見られる(Wikipedia)。このテュルク系諸民族の1つが中国のウイグル族である。

また、中国は欧州と結ぶ「一帯一路」重要拠点としてカザフを位置づける。アルマトイから東へ車で4時間のホルゴスには2015年にカザフ国鉄が中国国境に開いた「陸の港」と呼ばれる物流基地がある(日経:2017.10.6)。カザフは、中国にとって、西側フロンティアに位置し、ヨーロッパと中国自身のエネルギー安全保障につながる「一帯一路」イニシアチブの重要な部分であり、戦略的に重要な地域となっている(RT:2022.1.10)。

 

5 ビットコインの一大採掘国

昨年12月1日付けの日経は「カザフスタンで暗号資産(仮想通貨)のマイニング(採掘)が急増し、電力不足が深刻になってきた。中国で採掘を禁止された会社が相次ぎ流入しているためで、電力消費の世界シェアは前年の4倍に達した。」「カザフは石油や天然ガス、石炭に恵まれた資源大国だが、大量の電力を消費する仮想通貨の採掘が盛んになり、電方需給が急速に引き締まっている。」「採掘拡大で電力の需要が急増して供給とのバランスが崩れ、2021年10月には3つの発電所が緊急停止した。」と報じた。2021年の電力の伸びは8%であり、原発10~12基分に相当する。また、2022年1月6日付けのロイターは「昨年8月時点のビットコインの採掘速度(1秒当たりの計算力)で、カザフは全世界の採掘能力の18%を占めるに至っていた。中国が採掘の取り締まりに着手する 前の昨年4月はわずか8%だった。」、とし、カザフはわずか数か月でいきなり、米国に次ぐ世界第2位の採掘国に躍り出た。カザフ政府は採掘業者が国内の電力の8%を消費しているとしている。いかにカザフに仮想通貨のマイニングが集中して電力不足におちいったかが分かる。カザフの電力の7割は老朽化した石炭火力であるが、「石炭が豊富な北部から電力不足が続く南部への送電網が弱い」と指摘されている。今回の暴動はこうした急激な電力不足に、自動車の移動に依存する生活で、燃料の液化石油ガス(LPG)価格の値上げが重なった。

資源エネルギー大国のカザフであるが、その資源の多くは米欧系企業に握られている。「カザフ当局によると、2005年以降の米国勢による対カザフ投資は450億ドル(約5兆1300億円)を超えた。石油大手シェブロンやエクソンモービル、化学メーカーのダウ、デュポンといった米企業およそ600社が現地で事業を展開している。」(WSJ:2022.1.14)。

大黒岳彦は2017年時点において「ビットコインという疑似“貴金属”の採掘に専ら従事する『採掘者』と、単なるピットコイン『利用者』との役割の分化と固定化が生している。“採掘”に参加するには、もはや普通のパソコンを所有しているだけでは事実上無理で、『PoW』用に設計された ASIC(特定用途向けチップ)を搭載した高性能ワークステーションがなければ到底先行者たちには太刀打ち不可能である。莫大な電力も消費するため“採掘”はいまや一つの産業と化しており、電力が安価な中国や北欧の大掛かりな専用プラントで実際の“採掘”作業は行なわれている」と書いているが(『現代思想』2017.2)、カザフはその貴重な資源を利用されて、今後5年間でわずか3億ドル(340億円)をマイニングで消費する電力に課税できるだけで(日経:2021.12.1)、そのほとんどの富を外国に持っていかれる。

「ピットコインの取得、所有、移転において匿名性が維持されることと、規制を無視した国境を越える送金が実行できてしまう」「 計算能力の大半は無駄に難しい数学問題を解くことに使われ、最も速く解けるパワーを持つ者の取引記録が正式のものとなり、報酬が得られる。これがピットコインのマイニング(採掘)であり、多大なエネルギーを消費する活動になっている。」と『大機小機』のコラムニスト「山河」氏は喝破している(日経:2021.7.30)。

今回のトカエフ大統領の要請によるCSTOの派遣と中国の支持はこうした米欧との力関係を大きく変えることとなろう。

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【投稿】コロナ禍、最悪のインフレへ--経済危機論(71)

<<1981年以来最悪>>
1/12に発表された昨年12月の米消費者物価指数(総合CPI)は、11月の前年同月比6.8%上昇からさらに加速し、7.0%上昇と、39年ぶりの高騰を記録した。 19ヶ月連続の上昇であり、変動が激しいとされる食料やエネルギーなどを取り除いたコアCPIでも1991年2月以来の高水準(前年比+5.5%と予想を上回る高水準)となり、1981年以来最悪である。最大の価格上昇はガソリンと灯

実質平均時給:9ヶ月連続で減少(前年比2.4%減)

油で、それぞれ年率50%と41%の上昇。中古車の価格が37%上昇、暖房や調理に使用される天然ガスは24%上昇と続く。食品価格では、牛肉と子牛肉が16%、鶏肉が10.4%、卵が11.1%、パンは11%、とまさに急騰である。サービスインフレは+3.7%と2007年1月以来の高水準、物品インフレは前年同月比10.7%と1975年5月以来の高水準である。
当然、実質賃金は減少し、実質平均時給が9ヶ月連続で減少、前年比2.4%減を記録している。
この「残酷なインフレレポート」と評される実態を和らげるために、バイデン政権広報は、「前月比では(0.8%から0.5%上昇へ)減速している」「インフレは緩和している」と言い訳をしたのであるが、その舌の根も乾かない、1/13に発表された物価指数は、2022年1月第1週は昨年12月最終週の2倍の速さで上昇し、商品価格は20.2%も上昇していることが明らかになっている。
昨年12月、バイデン大統領は、サプライチェーンの危機を打ち破ったと豪語し、インフレ懸念を打ち消したはずであったが、とんでもない。価格が上昇する一方で、スーパーの商品棚は驚くほどむき出しの空っぽの事態が急速に拡大しているのである。

1/10にはツィッターで、

#BareShelvesBiden  空っぽの棚バイデン

#BareShelvesBiden(棚が空っぽ・バイデン)というハッシュタグがトレンドになり、どんどん拡散する事態である。
もちろん、日本も含めたOECD先進国グループの消費者物価上昇率も、昨年11月に5.8%に達し、前年同月のわずか1.2%から上昇し、1996年5月以来の最高の上昇率となっている。
こうした事態の結果として、バイデン大統領の支持率は急速に下落してきており、キニピアック社の最新の世論調査で史上最低を記録、わずか33%、調査対象者の53%は不支持であった。「国の民主主義は崩壊の危機に瀕している」と考えている人々が58&にも達している。

<<問われる反独占政策>>
何が原因なのか? 最大の上昇となっている石油、ガ

バイデン氏の支持率は33%に急落、米国の民主主義が「崩壊の危機にある」と考える人が多数派に

ス、エネルギーのインフレは、資源豊富でだぶつきこそすれ、供給不足からではない。しかし、米国の石油独占資本は石油・ガス料金で29.6%もの値上げを実行している。つまりは、独占企業が、好機到来と、価格を吊り上げ続けているのである。米中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会・FRBがインフレ懸念から2022年3月から、超金融緩和政策から引き

締め・金利引き上げ政策への転換を余儀なくされる、2022年だけで3~4回の金利引き上げが議論されている。もしこれが実行されれば、バブルが暗転し、大不況に突入することは必定である。そうした事態を見据え、CO2削減・環境保護に便乗、供給制限・供給不足を演出し、独占価格を吊り上げているのが実態である。
肉や食品の価格も上昇しているが、ここでも食肉生産、穀物・パンなど食品生産の独占企業主導による価格高騰が横行している。バイデン氏は「競争不足が原因だ、もっと競争をさせる」と言っているが、具体的には、補助金を与えるための口実に過ぎない。食品産業はすべて独占に近く、石油独占体に対するのと同様、独占価格にメスを入れ、分割・再編する反独占政策こそが提起されるべきなのである。

もう一つのインフレ高進の原因としてあげられるサプライチェーンの危機は、バイデン政権ならびにG7・先進諸国自身が招いたものでもある。大手製薬独占企業を擁護し、コロナワクチン特許権放棄を拒否してきたツケでもある。
1/14、フェデックス社は、オミクロン変異体の爆発的な急増により、スタッフ不足と航空機で輸送される貨物の遅延が発生していると警告している。
全世界にコロナ禍を蔓延させ、物流・運輸を混乱・麻痺させたばかりか、前トランプ政権の反中国・反ロシア政策をより一層危険な段階に推し進めたバイデン政権は、軍事的緊張激化を高め、対中国高関税を放置して物価を上昇させ、自らに跳ね返ってきているのである。
さらに決定的なのは、ゼロ金利で潤うバブルがもたらした投機経済が、石油・ガスのみならず、小麦や綿花、トウモロコシ、大豆、砂糖、ココアにまで投機筋がむらがり、価格を吊り上げてきたことである。もちろんここでは大手金融独占資本がふんだんに資金を供給し、利益をむさぼってきたのである。
こうして、2022年はインフレの高進に伴い、実体経済の収縮、そして金融市場の収縮の可能性、つまりは総体的な政治的経済的危機がより一層進行する可能性を高めていると言えよう。
しかし、いずれも、反中・反ロの緊張激化政策を緊張緩和政策に転換すること、そしてより根本的には反独占・ニューディール政策への抜本的な政策転換によって、インフレ抑制が可能であることを示している。
(生駒 敬)

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【投稿】南北戦争以来の大分裂に直面し、対外危機を煽るバイデン政権

【投稿】南北戦争以来の大分裂に直面し、対外危機を煽るバイデン政権

                              福井 杉本達也

1 米国の大分裂―ワシントン・ポストの世論調査

2021年1月6日の米連邦議会議事堂の占拠事件から1年、12月17,18日に実施されたワシントン・ポスト紙・メリランド大学世論調査(2022年1月2日アップトデー ト)では34%の人が政府に対する暴力を支持している。同調査によれば、「市民が政府に対し暴力を使用することは正当化できるか、決して正当化できないか」という質問に対し、「正当化できる」が34%、一方「決してできない」は62%であった。それが「いかなる時に正当化できるか」ということについては、「政府が市民の権利、自由を取り去り、市民に反対する時」が22%、「政府が最早民主的でなく、独裁的でクーデターを行った時」が15%であった。また、「バイデン大統領は合法的に選出されたか」という質問では、「合法的」が69%、「合法的でない」が29%。さらに2020年の「大統領選挙において広範な欺瞞行為 fraud に確実な証拠 solid evidence があると思うか」については「確実にある」が30%、「ない」が68%となっており(孫崎享作成資料:2022.1.3)、調査では連邦議事堂事件に関する完全な二極化が示された。調査したアマースト教授は、「正反対の現実に住んでいる共和党員と民主党員」を示していると嘆いた。

 

2 国内の大分断を対外危機を煽って乗り切ろうとするバイデン

南北戦争以来と言われる国内の大分断の中、支持率の低迷に喘ぐバイデン大統領をはウクライナや台湾危機を煽り、再び、「9.11」や「トンキン湾事件」のように海外に『敵』を作って乗り切ろうと画策している。連邦議事堂事件では725人以上が訴追されたが、大多数は選挙不正があったとするトランプ前大統領らの主張を信じた「どこにでもいる米国人」(米メディア)だったとされる(福井=共同:2022.1.8)。バイデン氏は事件1周年の演説において、トランプ氏を「うその網を張り巡らせた」と批判、「選挙結果が不正確だとの証拠はゼロだ」とし、「米史上初めて大統領が敗北後に平和的な権力移行を限止しようとした」と糾弾し、「米国の民主主義の喉元に短剣を突き付けた」と非難した(福井=共同:同上)。

しかし、「公正な選挙」を巡る民主党と共和党の見解は真っ向から対立する。テキサスやジョージアなど共和党優勢の州は郵便投票での身分証明替の提示義務化など投票機会を狭める法改正を進める(日経:2022.1.7)。孫崎享氏も1月8日の「孫崎享チャンネル」において、米の大統領選挙における郵便投票の方法にについて疑問を投げかけている。トランプ氏は1月4日の声明で、議会下院特別委員会は、なぜ「大統領選の不正行為を調査の主要テーマにしないのか。これは世紀の犯罪だった」と唱えている(日経:同上)。

ブリッジウオーター・アソシエーツの創業者ダリオ氏は、基軸通貨であるドルの購買力が低下し、米国の国力は弱体化しており、「パンデミックや洪水、干ばつといった自然災害も相次ぎ、米国の国政へのリスクが拡大している。国内の秩序を保つシステムもうまく機能していない。歴史をふりかえるとこうした問題に直面する国家は内戦や戦争に突入するのが常だ。」と警告している(孫崎享:2022.1.9)。米国は、台湾海峡での危機を煽り、米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」での原子力潜水艦配備計画を明らかにし、対中強硬姿勢を強めている。既に米原潜「コネティカット」が2021年10月7日に対中国潜水艦作戦中、南シナ海で中国の無人潜水艦と衝突し?大損害を出したとの報告もある(CRI時

評:2021.11.7)。また、この危険な安保の枠組みに日本を組み入れようとする米軍産複合体は、岸田首相に「敵基地攻撃論」を吹き込み、日豪共同訓練協定の締結させ、安倍元首相らは「台湾有事論」を振り回している。一方、NATOと共にウクライナ東部やベラルーシ・ポーランド国境に軍事力を集めロシアと一触即発の危機を作り出そうとしている。こうした海外に『敵』を求めるバイデン政権の動きはあまりにも冒険主義であり、米金融資本内部にも異論がある。中ロとの差し迫った緊張を緩和しようと、1月3日、米ロ中英仏の核保有大国5か国は、「我々は、核戦争に勝者はおらず、核戦争をしてはならないということを表明する。核兵器の使用が計り知れない影響をもたらすことを鑑み、我々はまた、核兵器が存在し続ける限り、防衛や侵略抑止、戦争防止の目的に資するべきであることを表明する。」との声明を発表した。

 

3 ネットを検閲するツイッターやメタ(フェイスブック)

ツイッターは、新型コロナウイルスの誤情報の拡散に関する規約に繰り返し違反したとして、米南部ジョージア州選出の共和党のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員の個人アカウントを永久停止した。既に、ツイッターは連邦議事堂事件で、暴動を扇動したとして、事件直後にトランプ氏のツイッターを永久追放している(日経:2022.1.4)。8800万人のフォロワーがいた現職大統領のアカウント停止は情報・金融資本によるクーデター以外の何ものでもない。また、「リチャード・メドハーストは、Instagramが彼のアカウントから約20の画像を削除し、もし彼が類似の投稿をし続ければ、恒久的禁止に直面すると警告したと報じている。問題の投稿はメドハーストがトランプ政権による有名なイラン軍指導者ガーセム・ソレイマーニー暗殺二周年を記念するために作った Twitterスレッドのスクリーンショットだ」と報じている(『マスコミに載らない海外記事』2022.1.7)。

ケイトリン・ジョンストンによれば「実際は今まで誰も『Covid誤報』かどでは禁止されていない。それは現在の口実に過ぎない。以前は、国会議事堂暴動の結果で、その前は、選挙安全管理、ロシアのニセ情報、外国による影響作戦、フェイクニュースなどだった。実際、インターネット検閲を当たり前のことにする背後にある本当の狙いは、インターネット検閲自体を当たり前のことにすることだ。それが、実に多くの人々が追放されている本当の理由だ」。「2016年のトランプ当選は、現状維持政治の失敗ではなく、世界で何が起きているかに関して支配権力機構の思惑と完全に一致する、主要言説を支配する情報管理の失敗だった」と断定した。グレン・グリーンワールドは「選挙で選ばれたわけではないハイテク・オリガルヒが、正当に選挙で選ばれた連邦議会議員や、現職大統領さえ、彼らの巨大プラットホームを使えないようにするのはディストピアだ」と述べている。ツイッターやフェイスブックなどのハイテク・オリガルヒの代弁者:元FBI職員クリント・ワッツは「情報反乱を鎮圧するために我々全員今行動しなくてはならない」、真実情報の集中砲火がソーシャル・メディア・ユーザーに着弾するのを防ぐには、「配布するメディアを沈黙させることだ。銃を沈黙させれば、一斉射撃は終わる」と断言した。米南部:フロリダ州は2021年5月、州議会候補者らのアカウントを、SNS 運営企業が永久凍結した場合に罰金を科す新法を制定した(日経:同上)。「巨大プラットホームが、地球上最も強力な政府の意思と完全に提携して、言論を検閲している」。「政府に結びついた独占的技術プラットホームが世界的言説を支配する危険は、人々が、たまたま、どんな瞬間に嫌いかもしれない、いかなる意見の危険より遙かに大きい。」とケイトリン・ジョンストンは警告する(『マスコミ載らない海外記事』:2022.1.9」。

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【投稿】50年までに排出ゼロ―「脱炭素」という大嘘で原発の復活図る欧州

【投稿】50年までに排出ゼロ―「脱炭素」という大嘘で原発の復活図る欧州

福井 杉本達也

1 欧州の「脱炭素」は原発を復活させる強欲資本主義の詐欺

EUは1月1日、「原子力と天然ガスを脱炭素に貢献するエネルギーと位置づける」方針を発表した。「EUタクソノミー」 は事業が持続可能かを分類する制度であり、「2050年までに域内の温暖化ガスの排出を実質ゼロにする」との目標に貢献する経済活動かどうかを示し、民間マネーを呼び込み排出削減目標の達成を後押するという触れ込みである(日経:2022.1.3)。天然ガスや原油など燃料価格が暴騰する中、声明では原発をグリーンな投資先に認定することで「石炭など有害なエネルギー源の段階的な廃止を加速させ、より低炭素で環境に優しいエネルギーミックス(電源構成)に移行できる」と説明した(福井:2022.1.3)。

EUの「欧州委員会」は昨年7月、気候変動対策として2035年までにEU域内の新車供給は温室効果ガスを排出しない「ゼロエミッション車」に限定するという厳しい方針を決定。つまり、2035年にはガソリン車もハイブリッド車も原則として販売禁止になる。新車販売できるのはEVとFCVだけになる。問題は、EVを走らせるには電力が必要ということである。その電力はどう作られるのか。トヨタの豊田章男社長は現在のガソリン車などの内燃機関を全てEVにしたら、日本国内でも100万KW級原発で10基分、50万KW級石炭火力なら20基が必要だと試算している。

12月20日付けの福井新聞のコラム『越山若水』では「気になるのが雪道の大変さ。これを思うと電気自動車(EV)普及一辺倒の風潮に異論を唱えたくなる。昨冬のような大雪時、充電後の動ける時間を考えればEVは厳しいのではないか。 仮に大雪の中で走り回る車がすべてEVだと想像してみる。大規模な立ち往生で電力が失われるのを防ぐため、高速道路や主要国道には細かな間隔でおびただしい充電設備が必要になるだろう」と書いている。

原発は核燃料を燃やせば、放射性廃棄物の“核のゴミ”の行き場がない。さらに、ひとたび事故を起こせば、放射能に汚染され人が住めなくなる広大な土地が発生し、廃炉費用や賠償費用など天文学的なコストが発生する。どこが持続可能なのか。環境破壊の恐れが大きく原発にさらに投資を呼び込もうとする強欲資本主義には呆れる。

2 “グリーン”?水素やアンモニアは化石燃料の代替とはならない

欧州企業が南米やアフリカで再生可能エネルギー由来の「グリーン水素」の製造に動き始めた。太陽光・風力発電の適地が大きく、製造コストが低い。チリでは北部では太陽光が南部では風力発電の適地が多く、独シーメンスなどの大手企業が、これらの地域で「グリーン水素」や「グリーンアンモニア」製造プラントを建設し、世界中に輸出する計画だという。現在、世界で流通する水素は化石燃料である天然ガスを分解した「グレー水素」はほとんどであるが、「グリーン水素」は再生エネルギーで生み出した電気で水を電気分解し、水素と酸素に還元することで生産するものである(日経:2021.12.14)。また、アンモニアは水素に窒素を反応させて生産するもので、水素に比べて貯蔵や運搬などの取り扱いが容易で、すでに流通システムも整っていることから、水素と同様に直接、火力発電所の燃料として使える。それ以外にも、肥料や尿素のほか、さまざまな化学材料の原料、NOxなどの脱硝材料、さらには半導体の窒化膜生成にも使われている。こうした用途の広さがアンモニアに強みである。しかし、強い毒性がある。

電力は化石燃料を燃やして、あるいは風力・太陽光などの自然エネルギーから作られる二次エネルギーであり、これを用いて水を電気分解して作る水素は「三次」エネルギーになる。一次エネルギーから二次エネルギー、二次から三次と作る過程で必ず目減りし、元の電力より高くなり、電力を直接使う方が合理的である。水素を原料とした燃料を燃やすことは、エネルギー損失が大きく、ばかばかしい方法といえる。さらに、アンモニアを燃やせば、厄介な窒素酸化物(NOx)が発生する。NOxは酸性雨、オゾン層破壊、光化学スモッグ、PM2.5などの原因物質である。また、水素には水素脆化という問題もある。鉄鋼などの金属の中に水素分子が入り込み金属を弱くする性質があり、非常に扱いにくい。水素の高圧タンクなどを破壊する恐れがある。

3 化石燃料から発生するCO2を貯留する(CCS)という大嘘

萩生田光一経済産業相は1月7日、日本経済新聞とのインタビューの中で、石炭や天然ガス火力発電所から出る二酸化炭素(C02)を回収して地下に埋める技術(CCS(Carbon Capture and Storage))について「2030年までの導入に取り組む」と述べた。CCSも「脱炭素の切り札」ともてはやされている。天然ガスを分解して水素を取り出すときにCO2が発生すると「脱炭素社会」の構築には役立たないということで、発生したCO2を回収・圧縮して海底や地中深く埋めてしまうを適用することになっているが、CCS にはコストがかかり、エネルギーを浪費し、さらにCO2排出が増える。本末転倒の極みである。「脱炭素」は詐欺で満ち満ちている。真実などどこにもない。「環境」を旗印に掲げながら、世の中がどうなってもよい。儲かればよいという強欲の詐欺師どもが跋扈する世界である。

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【投稿】オミクロン“ツナミ”:G7・製薬独占の破綻--経済危機論(70)

<<WHO「医療システムが崩壊寸前」>>
12/29、WHO(世界保健機関)は「新型コロナウイルス感染症のデルタ・オミクロン株の急増により、医療システムが崩壊寸前だ」と警告している。テドロスWHO事務局長は「デルタ株とオミクロン株という脅威により感染者数が記録的に増加し、入院率と致死率も上昇している」、「感染力が非常に高いオミクロン株とデルタ株が同時に拡散し、“ツナミ”のように感染者数が急増している」とし、「これが、疲れきった医療陣にかなりの圧迫を加え、医療システムを崩壊寸前にまで追いやっている」と悲痛な警告を発している。
テドロス氏は、オミクロンの「津波」の中でワクチン・アパルトヘイトを「道徳的恥辱」だと批判し、「今こそ、目先のナショナリズムを乗り越え、世界的なワクチンの不公平を解消し、将来の変異体から国民と経済を守る時です」と訴えている。

テドロス氏「“ツナミ”のように感染者数が急増している」

WHOを無力化させる「目先のナショナリズム」への批判でもある。
世界の感染者数は実に1日当たり144万件を上回り、これまでの記録を大幅に更新し、オミクロン株が、世界的に感染の中心になりつつある。7日間移動平均は12月27日に約84万1000件と、オミクロン株がアフリカ南部で最初に確認された1カ月前から49%も増加しているのである。新型コロナウイルスによるパンデミックは、新たな、危険で深刻な段階を迎えていると言えよう。
特許権放棄を拒否する製薬独占企業、その強欲を野放しにし、弁護しているG7先進国政権、彼らが生み出したワクチンのアパルトヘイトによって、ファイザー社、モデナ社、ビオンテック社だけでも、コロナワクチンで毎秒1,000ドルもの超過利益を上げ続けている一方、先進諸国は約束した18億人分のワクチンのうち実際には14%しか供給していないばかりか、これらの製薬独占企業は依然として供給、流通、価格設定の条件を譲っていない。その当然の結果として、低所得国の人々の4%以下しかワクチンが接種できず、アフリカ諸国が自国の供給分を購入する場合でさえ、製薬企業はしばしば納入の約束をさえ守らず、変異ウイルスの最適な温床を作り出し、コロナウィルスの蔓延を助長し続け、少なくとも500万人がこのウイルスで死亡しているのが現実である。
そして、自らが作り出したともいえる変異ウイルスが、先進諸国に容赦なく逆上陸し、その悪行の当然の帰結として、自らの政治的経済的危機をより激化させているのである。
12/28、米疾病対策センター(CDC)は米国で27日に報告された新型コロナウイルス感染者が44万1278人だったと発表。1日あたりでは今年1月8日の29万4015人を上回り、過去最高。直近1週間の1日平均は約24万人で前週の約6割増しという非常事態である。
フランスでは1日あたりの感染者数が20万人を超え(20万8千人)、欧州では過去最悪を記録している。ベラン保健相は29日の国会で「オミクロンは波ではなく、大きなうねりと呼ぶべきだ。ここ数日の数字を見れば、地滑りだ」、「めまいがする、1秒に2人が陽性になっている」と語る事態である。
イタリアも29日に新規感染者数が約9万8千人に達し、過去最悪を更新。英BBC放送は「欧州の新規感染者数としては過去最高」と伝え、イギリスも12万9471人と過去最多、ポルトガルも過去最高の約1万7000人の感染が判明している。12/29、デンマークで、22,023、アイルランドは16,428、スイスは16,760。ドイツでは、カール・ラウターバッハ保健大臣は、新たな感染は非常に過少報告されており、29日に報告された40,042件の2?3倍であり、28日に比べて45%増加していると述べる事態である。しかも特徴的なのは、これら諸国の感染者の入院の60%は、2回または3回のワクチン接種を受けた患者なのである。日本でもじわじわとオミクロンの脅威が差し迫っていると言えよう。

<<バイデン、ついに敗北を受け入れる ?>>
とりわけ米国の実態は深刻である。米国の1日の平均症例数は267,305に達し、コロナ感染の入院は急速に増加し、現在75,000人近くが病気の合併症で入院している。感染症例は5500万人に急速に近づいており、1,000人以上の子供を含む844,000人以上が死亡している。米国でオミクロンの最初の症例が検出された12月の初め以来、小児の症例が急増し、2021年12月2日までの週の132,000の感染から、2021年12月23日までの週の199,000まで、51%も増加している。小児入院がニューヨーク市で5倍に跳ね上がり、ワシントンDCで2倍と、爆発的な増加に直面している。ニューヨークの1日あたりの感染の7日間の平均は、12月1日の7,000から38,500を超える事態である。トランプ前政権時代よりもパンデミックをめぐるあらゆる症例は悪化しているのである。
ところがバイデン政権は、12/21になって、オミクロンの急増について「これがこれほど急速に広がるとは誰も予想していなかった」と責任を転嫁する路線を明瞭に打ち出した。(—ABCニュース(@ABC)2021年12月21日
とんでもないでたらめである。南アフリカで11/9に感染が確認され、11/24に報告され、WHOがオミクロン変異株について最初に警告したのが11月26日であった。11/26のニューヨーク株式市場がこの警告で激震に見舞われ、今年最悪・最大の下げ幅を記録、世界的に株安が連鎖したのはほんの1か月前である。すでに12月初めには米国でのオミクロン症例が確認されていたのである。一部の症例ではなく、12/21時点で新規の感染者の実に73%がオミクロン変異株によるものであったことも明らかにされており(APnews 12/21)、ここに至るまでにバイデン政権は、トップヘルスの専門家から何度も警告されていたのである。
さらにバイデン氏は、12/21の会見で「あなたがワクチン接種を受けているなら、あなたは正しいことをしました、あなたがそれらを計画したように休日を祝います。」と述べ、接種を受けていない人々を暗黙のうちに非難し、自らの政権の取り組み不足と無能さを棚に上げて、予防接種をするかどうかの個々の決定にすべての責任を負わせる個人責任路線を明瞭にしたのである。

2020年のジョーバイデン:「私はウイルスをシャットダウンするつもりです。」                                                                                                          今日のジョー・バイデン:COVID-19に対して「そう! 連邦政府の解決策はありません」

そうした流れの極めつけが、「連邦政府に解決策はありません」というバイデン氏の発言であった。12/27、バイデン大統領は、全米知事協会とのホワイトハウス・コロナウイルスブリーフィングで、オミクロン亜種に対する「連邦政府の解決策はない」と認め、コロナウイルスの大流行を終わらせる責任を州政府に負わせる発言をしたのであった。「いいか、連邦政府の解決策はないんだ。これは州レベルで解決されるのだ」と。(Biden:‘There is no federal solution’ to coronavirus pandemic Whitehousewire 2021/12/27
2020年の大統領選で勝利したバイデン氏は、「私はウイルスをシャットダウンするつもりです」と宣言していたのであるから、この発言は、バイデン氏の敗北宣言とも言えよう。

<<特許なしワクチン、開発される !>>
バイデン氏の発言があった同じ12/27、米テキサス州のテキサス小児病院、ヒューストン・ベイラー医科大学、インドの製薬会社のバイオロジカル・イー社が共同開発した未特許のCovid-19ワクチン・コバーバックス(Cobervax)が、インドの規制当局から緊急使用承認を受けたというニュースが流れ、翌12/28、テキサス子ども病院はその詳細を明らかにした。
テキサス子供病院によると、この新しいワクチンは、新しくて複雑な技術ではなく、すでに多くのメーカーが経験している旧式の組換え蛋白質技術を使用しており、3000人以上の被験者を対象とした2つの第Ⅲ相臨床試験を完了し、安全性、忍容性、免疫原性が確認され、SARS-CoV-2ウイルスに対して少なくとも90%、デルタ変異型に対しては80%以上の効果があるという。テキサス小児病院のチームを率いるピーター・ホテツ氏(Dr. Peter J. Hotez)は【川口食器・調理道具専門館】【2022/02/23-R】 【中古】JIM BEAM ハイボールボトル (12個セット) HARIO 幅85×高さ302 【送料無料】【未使用品】【業務用】に「我々は金儲けをしようとしているのではありません」、「我々は、人々が予防接種を受けるのを見たいだけなのです。」と語っている。

テキサスチーム・パテントフリーワクチン「金儲けのためじゃない。ただ、人々が予防接種を受けるのを見たいだけなのです。」

このワクチンは、特許で保護された大手製薬会社のワクチンに代わるオープンソースのワクチンであり、営利目的で製造されるのではなく、最終的には世界中で製造され、政府や民間の法的報復を受けることなく、すべての人が安価に入手できるようになる可能性を開いている。ホテツ氏は「このワクチンは世界中の現地で製造することができます。私たちは現在、インド、インドネシア、バングラデシュ、ボツワナの製造業者にテキサス子供ワクチンを技術移転しています」とツイート(12/27)している。
すでにインドの製薬会社は、約1億5000万回分のコバーバックスを配布する準備ができており、さらに3億回分をインド政府から事前注文されているという。同社は、国民の約40%しか予防接種を受けていないインドでより良いサービスを提供するために、毎月1億回分まで生産量を増やす計画である。
消費者擁護団体・パブリック・シティズン(Public Citizen)のディレクターであるメイバルダク氏(Peter Maybarduk)は、12/30、「テキサス小児病院の技術共有への取り組みは、製薬大手とワクチン生産と医療革新が秘密主義と独占権によって繁栄するという誤ったシナリオへの挑戦である 」、「テキサス小児病院が出来るのなら、なぜファイザーとモデルナが出来ないのか?」と問いかけている。
バイデン大統領の支持率が、もともと低いハリス副大統領の支持率をさえ下回り始め、コバーバックスのニュースと同時に、ファイザー、モデルナ、両社の株価が下落し始めたのは偶然ではないと言えよう。
(生駒 敬)

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【投稿】「北京五輪外交ボイコット」を煽り歴史修正主義に転落した日本共産党

【投稿】「北京五輪外交ボイコット」を煽り歴史修正主義に転落した日本共産党

福井 杉本達也

1 自民党保守派も顔負けの日本共産党の反中国プロパガンダ

毎日新聞によると、「共産党の志位和夫委員長は13日、来年の北京冬季五輪・パラリンピックに政府代表を派遣しない「外交的ボイコット」を日本政府に求める声明を発表した。中国による香港や新疆ウイグル自治区での人権侵害も厳しく批判し、自民党保守派も顔負けの強硬姿勢を見せた。」とし、「五輪開会式や閉会式に政府代表を派遣した場合、『人権抑圧の黙認となりかねない』と指摘。『日本政府は中国政府に対し、従来の及び腰の態度をあらため、人権侵害の是正と(人間の尊厳の保持などをうたった)五輪憲章の順守を正面から求めるべきだ』とも求めた。」と報道している(毎日:2021.12.14)。

一方、12月17日の参議院予算委員会では、維新の鈴木宗男氏が「黒人差別をしている米国が、人権を声高に言って良いのか。それぞれの国の歴史や文化、様々な積み重ねを踏まえ人権問題は議論すべき。北京五輪の外交ボイコットを言う人もいるが、日本は【大人の対応】をすべき。平和を目指す祭典に、日本は協力すべきである」と岸田首相に迫った。どちらがまともであるかは論を待たない。

 

2 南京大虐殺を否定した日本共産党

12月13日は1937年に日本軍が大量虐殺を行った南京大虐殺から84年目にあたる。南京市の大虐殺記念館では追悼式典が行われ、「演説した孫春蘭副首相は『日本の侵略戦争は中国人民に前代未聞の災難をもたらし、南京では30万の同胞が無残に殺りくされた』などと非難。日本が『正しい歴史認識』を持つことを前提に『新時代の要求に合った中日関係の構築に取り組んでいく』方針を示した」(時事:2021.12.14)。ところが、日本共産党は、わざわざこの日に合わせ、「五輪外交ボイコット」を打ち出したが、それは単に米の対中封じ込め政策に同調したというものではない。志位氏がこれまで何十年も赤旗など機関紙等で広報してきた12月13日という日を知らないはずはない。香港やウイグル問題をあえて持ち出すことによって、南京大虐殺の相対化=否定を狙ったものである。安倍晋三・高市早苗や日本会議同様の「南京大虐殺はなかった」、「南京大虐殺」というのは中国のプロパガンダであるという歴史修正主義の立場に明確に立ったということである。つまり、日本が侵略戦争を行ったという事実を否定するものである。

 

3 ウイグル問題とは何か

トランプ政権末期:米大統領選で勝利者が“確定”する前後の2020年11月7日、AFPは「金曜日、イスラム教徒が大多数の新彊地域で厳しい取り締まりを正当化するため常に中国に非難される正体不明の党派をテロ集団リストから削除したとアメリカは述べた。新しいアメリカ法律や告示を掲載する『連邦公報』で、マイク・ポンペオ国務長官は東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)の『テロ組織』指定を無効にしたと述べた。『10年以上、ETIMが存在し続けているという信頼できる証拠がないので、ETIMは、リストから削除された』と国務省報道官が述べた。」と報道した。しかし、これは全くのでたらめである。ETIMは、バス爆破、銃撃、自爆攻撃、ナイフ攻撃や他の形のテロを、20年以上にわたって実行している。2009年には、ETIMの主導で、ウイグル族と漢民族の間の緊張を高め、新疆ウイグル自治区の首都ウルムチで暴動が発生し、200人近くの人々(主に漢民族)が殺害された。2002年に国連によってテロ組織にリストされ、今日に至るまで、指名されたままである。 Wikipediaによれば、「東トルキスタン・イスラム運動(Eastern TurkistanIslamic Movement、略称ETIM)は、政党「トルキスタン・イスラム党(TIP)」を母体とする中華人民共和国からの東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)の分離独立を主張するイスラーム過激派組織である。」と書いている。米国は、対中国攻撃のために、依然活動中のテロ組織をリストから削除しただけである。むろん、ETIMを対中攻撃のために活用するということでもある。

自民党の佐藤正久外交部会長と国民民主党の玉木雄一郎代表は12月19日のフジテレビ「日曜報道 THE PRIME」(日曜午前7時30分)に出演し、政府が2022年2月の北京五輪・パラリンピックに政府関係者を派遣しない「外交的ボイコット」を表明するよう主張した。また、玉木氏は「今の中国の人権状況に対して、政府、国会が明確なメッセージを出していないことは問題」と指摘した。「人権」を旗印にしているが、二重基準の全くの米国追随である。20年も戦争し、銃弾や無人機で無垢のアフガン人民を大量虐殺し、惨めな撤退をした米国・NATO諸国の侵略行為こそ人権で批判してしかるべきである。

 

4 米欧軍産複合体の軍門に下った日本共産党

2019年11月、日本共産党は綱領を改定したが、『しんぶん赤旗』は「中国の国際政治における問題点を事実と道理にそくして踏み込んで明らかにしたうえで、『社会主義をめざす真剣な探究が開始』された国と判断する根拠がもはやなくなったとの改定の意義です。中国の大国主義・覇権主義的行動から生まれる社会主義のマイナスイメージで日本共産党前進の障害になっている事実に対し、一部改定案がこれらの誤解・偏見を解きほぐし、日本共産党の魅力を広げていくうえで大きな力を発揮することは間違いないと指摘。」したと解説した(2019.11.6)。

浅井基文氏は日本共産党の綱領改定・特に中国に関する部分において、「21世紀における日中関係の今後のあり方如何は国際関係全体を左右する重要な要素で あることを強調しておきます。その重要性を踏まえる者であるならば、今日の日中関係の現実が主に日本側(政府及び国民全体)の偏見に満ちた対中認識によって本来あるべき姿からかけ離れた状態にあることに深刻な問題意識を持つべきです。日本における対中認識を正すべく努力することは責任ある政党の最重要課題の一つであるべきです。…広範な連合政府樹立を唱道する日本共産党が中国に対する「むき出しの敵意」(としか私には受け止めら れない)をあらわにし、あまつさえ綱領改定の柱とすることには重大な問題があります。」(2019.11.10)と批判した。ウイグル問題・香港問題・チベット問題にしても、また台湾問題にしても中国の内政問題である。他国が「人権」を旗印にして強引に介入してはならない。

孫崎享氏も指摘するように、国連憲章第2条は「この機構は、そのすべての加盟国の主権平等の原則に基礎をおいている」としている。1972年の日中共同声明では「 六 日本国政府及び中華人民共和国政府は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する」としている。12月18、19 日に実施した朝日新聞社の全国世論調査(電話)で、来年2 月の北京冬季五輪に、政府当局者を派遣しない「外交ボイコット」について、日本の対応を聞いたところ、外交ボイコットを「するべきだ」は35%で、「するべきではない」の43%が上回っている(2021.12.22)。「人権」を前面に出すことは、アフガンやイラク・シリアそしてリビア、さらには旧ユーゴスラビアへ介入し、爆弾を雨あられと降り注いだ米・NATOの大虐殺行為を正当化しようとする米欧軍産複合体のプロパガンダの一環である。

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【投稿】チリ:市場原理主義・新自由主義への葬送--経済危機論(69)

<<「チリを新自由主義の墓場に」>>
12/19、南米チリの大統領選で、共産党など左派政党連合の「尊厳承認」(Apruebo Dignidad)連合の候補者ガブリエル・ポリッチ(Gabriel Boric)氏が、極右のキリスト教社会戦線の保守派ホセ・アントニオ・カスト(José Antonio Kast)氏を11.5%、100万票以上の票差で破り、勝利した。教育改革を要求する元学生運動の指導者であるガブリエル・ボリック氏が大差で勝利し、35歳、世界で最も若い大統領の一人として、来年3月に就任することとなった。
敗北したカスト氏は、市場原理主義・新自由主義的な経済秩序の維持を公約し、1980年の軍事独裁政権・ピノチェト時代の憲法を賞賛し、ブラジルの極右大統領ジャイル・ボルソナロを敬愛することを公言し、選挙最終盤、ボリッチ氏を「共産主義者、全体主義者」と反共攻撃に徹するする作戦を強めたが、票差を一層広げることとなったのである。

「歴史的勝利!」「新自由主義を葬ろう!」12/19 チリ・サンティアゴで大統領選勝利を祝う民衆(CommonDreams December 19, 2021

対して、ボリッチ氏は選挙公約で、格差拡大の自由競争原理主義・新自由主義からの転換を掲げ、グリーン投資を強化することで気候変動と戦い、社会サービスへの国家支出の増加させ、企業や富裕層への累進課税、不十分な民間運営の年金制度を公的な代替制度に置き換える、社会的抗議活動への弾圧において重大な人権侵害を行った悪名高いカラビネロ警察の改革、チリにおける地方分権と福祉国家の実現、学生ローンの廃止、女性や先住民族、少数民族の地位向上を目的としたその他の改革を実施することを公約。「チリが新自由主義の発祥地であるならば、その墓場にもなるだろう」と訴えての勝利であった。
選挙結果発表後、数十万人のチリ人が首都サンティアゴの街頭に繰り出し、ボリッチ氏の勝利を祝うとともに、「新自由主義を葬ろう!」との声が繰り返し唱和された。群衆の歓呼の声に応えて、ボリッチ氏は、市民の圧倒的な支持と大勝利に感謝し、投票妨害のために公共交通機関が当日半減させられた事態に言及、「投票しようとしたのに、公共交通機関がないために投票できなかった人たちにも感謝する」と述べ、「こんなことは二度と起こさせない 」と強調。「私たちは、富裕層のための正義と貧困層のための正義が存在し続けることを知っており、貧困層がチリの不平等の代償を払い続けることをもはや許さない」と述べ、「民主主義に心を砕き、人々が必要とするものに日々対応する大統領になる」と決意を表明。

<<「ついにチリからピノチェトの亡霊が消えた」>>
12/20、プログレッシブ・インターナショナルはチリの歴史的な選挙に関する声明「新自由主義を葬り去り、世界を再構築する」を発表し、「ついに、チリからピノチェトの亡霊が消えた」と宣言した。
ヤニス・バルファキス元ギリシャ財務相を共同設立者とするこの組織・プログレは、チリの選挙を監視し、公正さを確保するために選挙監視団のメンバーを送り込み、代表団は首都サンティアゴで、労働者、活動家、憲法制定会議のメンバーと会談し、公正な選挙を守るために協力。選挙当日、サンティアゴと全国のバスが突然停電したため、有権者は自由で公正な投票という基本的権利を妨害する動きに対して、チリの人々が車やバン、オートバイを提供し、隣人が投票に行くのを支援。プログレッシブ・インターナショナル・キャビネットのメンバーであるレナータ・アビラ氏は、「チリの人々は、かつてないほどの投票を行った。彼らは憎しみを打ち負かすためだけでなく、ガブリエル・ボリッチと彼の背後にある多様な連合が導く新しい進歩的なビジ

ヤニス・バルファキス「ついに、チリからピノチェトの亡霊が取り除かれる。プログレッシブ・インターナショナルの仲間であるガブリエル・ボリッチ、おめでとう! チリで富の再分配のハードワークが今始まる」

ョンを支持するために動員されたのです。私たちは、民衆によって今書かれた未来を祝福します。私たちは、世界のすべての進歩的勢力に希望と可能性のメッセージをもたらす、新政府を支持します。」と語っている。

1973年9月11日の午前9時10分、チリで民主的に選出されたサルバドール・アジェンデ大統領に対して、アメリカがサポートし背後から操ったクーデーターでピノチェトが政権を強奪し、軍の攻撃で殺害される数時間前、アジェンデ大統領が語った最後の言葉、
「歴史的な転換期に立たされた私は、人民への忠誠を命に代えて償うつもりです。 そして、何千何万というチリ人の良心に植え付けた種は、永遠にしぼむことはないと確信していることを、私は人々に告げます。社会的プロセスは、犯罪によっても力によっても阻止することができない。 歴史は我々のものであり、人民が歴史を作るのです。」「私は、若者たちに、歌い、私たちに喜びと闘争心を与えてくれた人々に語りかけます。 私は、チリ人、労働者、農民、知識人、迫害されるであろう人々に語りかける。なぜなら、我々の国では、テロ攻撃、橋の爆破、鉄道線の切断、石油とガスのパイプラインの破壊など、行動する義務のあった人々の沈黙に直面して、ファシズムがすでに何時間も存在していたからである。歴史が彼らを裁くだろう。」
この言葉が今よみがえったのだと言えよう。

しかし、アメリカを中心とする大手金融資本や大独占企業は、当然のごとくチリ経済に対する攻撃に乗り出している。これに呼応して、チリの大手企業や富裕層は歴史的なペースで資金を海外に移しており、通貨に重圧を与えている。サンチアゴの金融資本・クレディコープ・キャピタルは、「これは市場が想定していた最悪のシナリオだ」と述べており、12/20、株式市場は10%下落し、チリ・ペソはオープン時に3%以上暴落した後、1.9%の下落、終値では、対ドルで過去最安値に急落している。
本当に「ついにチリからピノチェトの亡霊が消えた」と断言できるまでには、まだまだ多くの障壁が立ちふさがる可能性は否定できない。しかし、市場原理主義・新自由主義に対する、このチリの歴史的勝利は、厳然たるものであり、資本主義経済の政治的経済的危機を乗り越える可能性と展望を明確に示したものだと言えよう。
(生駒 敬)

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【投稿】米経済:鮮明なインフレ高進--経済危機論(68)

<<40年ぶりの高い伸び率>>
12/10に発表された11月の米消費者物価指数(総合CPI)は、10月に引き続き上昇、前月比では0.8%、前年比では6.8%の上昇となり、実に約40年ぶりの高い伸び率を記録した。食料やエネルギーなどを取り除いたコアCPIでも前年比4.9%の上昇に加速、30年ぶりの大きな伸びとなった。1982年以来となる大幅な上昇である。
家庭用家具・備品や衣料品、航空運賃の値上げが11月の物価上昇につながり、生活必需品の値上がりに加え、食品も前年同月比6.4%上昇と、08年12月以来の大きな伸び、ガソリンは前月比で6.1%上昇、家賃は前月比0.4%、前年比3.5%の上昇であった。

CPI 緑=前月比、青=前年比

食料品価格で最も上昇したのは肉、鶏肉、魚、卵のカテゴリーで、全体では13%の上昇、特に牛肉は21%も上昇。ファストフードのコストは7.9%増加。ガス代は25.1%の上昇であった。航空運賃指数は、ここ数ヵ月間低下していたが、11月には4.7%上昇し、上昇に転じている。自宅以外の宿泊施設の指数も、10月の1.4%上昇に続き、11月は2.9%上昇。自動車関連の指数も11月は引き続き上昇、新車指数は、10月の1.4%上昇に続き、11月は1.1%上昇。家庭用家具・業務用の指数は、11月に0.8%上昇し、10月と同じ上昇率、アパレル指数は、10月の横ばいから11月は1.3%の上昇。明らかなことは、こうした一連のCPIの加速率が極めて高くなっていることである。
さらに、インフレの要因が、パンデミックの影響を受けたいくつかの分野だけではなく、ますます広範囲に及びだし、経済、生活全般にインフレが襲い掛かっている状態である。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が、11/30の米上院銀行委の証言で「インフレが一過性であるとの表現を削除するのが妥当な時期が来た」と述べざるを得なくなって、十日も経たないうちにFRBの予測や市場予測をさえを上回る事態である。バイデン大統領は、こうした統計発表後の声明で、言い訳がましく「今回のデータ集計後、物価上昇の半分を占める自動車やエネルギーの価格は下がり始めている。」と述べ、「物価抑制が私の政権の最重要課題だ」とあらためて強調している。

問題は、実際には、現在のインフレ率は報道されているものよりもはるかに高く、40年近く前の1982年のCPIをも上回っていることである。1982年のCPIには、所有者の住居費を表す住宅価格が含まれていたのであるが、現在ではそれが除外されており、非市場家賃指数に置き換えられている。家賃が3.5%上昇したのに対し、住宅価格は過去1年間で20%近くも上昇している。CPI全体の約3分の1を占める住居費で、1982年基準の住宅価格を加えるとCPIは11%になるのである。

<<「危機」発生の加速剤>>
そして、追い打ちをかけるのが実質賃金の減少である。アメリカでの1時間あたりの平均収入は、1時間あたり31ドルと過去最高で、2021年11月の平均時給は、前年同月比で4.8%上昇したにもかかわらず、インフレ率が6.9%であるため、インフレ調整後の実質平均時給は11月に前年同月比1.9%減少し、6カ月ぶりの大幅減となっている。実質的な収入の伸びは過去8ヵ月間連続のマイナスであり、2021年11月の前年同月比ではマイナス2.1%の実質賃金の減少である。当然、インフレは労働者の購買力を低下させ、日々の生活費の上昇に賃金が追いついていないのである。
平均的な市民の経済的状況を判断する指数として、悲惨指数(Misery Indexミザリーインデックス)というものがあり、季節調整済みの失業率に年間インフレ率を単純に加えて算出されるのであるが、11月の失業率が4.2%であることから、米国の悲惨指数は10.82となり、今年6月以来の高水準で、2008年の金融危機で失業率が急上昇した際の悲惨指数と同様の水準となっている。

米国の家計資産の分布:「純資産」のほとんどは1%の人々が蓄積したもので、下位50%の人々にはほとんど何も行き渡っていない

その一方で、富裕層の資産は急上昇しており、格差拡大は目を覆うばかりである。アメリカ社会の上位10%に属する富裕層が、2021年段階、株式市場の89%という記録的な数字でコントロール、支配しており、インフレ率の上昇に先立ち、株式市場のダウ・ジョーンズ指数は昨年から20%も上昇、富裕層の資産を急拡大させている。それはしかも、コロナ禍のパンデミックの最中に稼ぎ出され、2020年は世界の億万長者の資産の記録上のシェアが最も急増した年となったのである。最も裕福な1%の超富裕層は、1995年以降に蓄積されたすべての追加資産の3分の1以上を獲得したのであるが、下位50%はわずか2%増にしかすぎず、この不平等極まれりの事態は、2021年、さらに拡大していることは間違いないであろう。デイビッド・グレーバー(David Graeber)が10年前のウォール街占拠運動で明示した「1%対99%」の対決構図、「私たちは99%だ(We are the 99%)」 は、より鮮明に立ち現れてきているのである。

日本のインフレはこれからが本番だと言えようが、すでに事態はインフレ高進不可避を予測させている。12/10に日銀が発表した11月企業物価指数によると、輸入物価指数は契約通貨ベースで前年比35.7%の急上昇である。円ベースでは同44.3%にもなっている。41年ぶりの上昇率を記録している。鉄・建材などの中間材価格は前年同期比15.7%上昇、これも41年ぶり。自動車・パソコンなどの消費財は5.0%上昇、工場用機械などの資本財3.3%上昇、共に40年ぶりの上げ幅である。すでに11月から家庭用冷凍食品や食用油などの値上げが実施されており、電気、ガス料金も値上げが待ち構えており、円安が継続すれば年明けの追加値上げがさらに広範囲に予測される事態である。

インフレ率が高進し、大幅に上昇した状況にもかかわらず、米欧、日本を含め、金融市場の利回りは途方もなく低いままやり過ごすことがいよいよ不可能な事態に追い込まれてきたのである。ゼロ金利と量的緩和政策の導入は、米国と世界の金融市場を根本的に歪め、金融資本主導のマネーゲームの横行を許し、株価のバブル的な高騰と投機的過剰を解き放ち、異常な格差拡大をもたらしてきたのである。しかし、そこからいよいよ脱出すべき出口戦略が問われている現在、現状の中央銀行、各国政府当局者たちには明確な戦略を何も持ち合わせていないのが現状である。これまで強気で市場のバブル化を推進してきた、同じ当局者が金利引き上げや市場引き締めに動き出せば、それが市場の不安定化から、さらには崩壊へと、「危機」発生の加速剤となることは明らかである。引くに引けない、進むに進めない、まさにニューディールへの根本的政策転換こそが問われていると言えよう。
(生駒 敬)

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